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2015年4月20日

バヌアツ共和国の巨大サイクロン被害は今も続く

バヌアツ共和国の巨大サイクロン被害は今も続く

 3月14日、巨大サイクロン・パムの直撃を受けた南太平洋の島国バヌアツ共和国を覚えているでしょうか。NGO団体HuMA(Humanitarian Medical Assistance、災害人道支援会)は3月21日から4月16日まで現地で支援を行いましたが、私(岡山済生会総合病院救急科医長・稲葉基高)はその第一次本隊隊長としてエファテ島北部の村、パナンギスで医療支援を行ってきました。

 一次隊は医師2人、看護師3人、調整員1人で編成。3月27日に現地に入りました。パナンギス村にはもともと医師がおらず、村のヘルスセンターにいる看護師2人で2,000人ほどの医療を担当している状況でした。看護師はかなり疲弊し、「センターの周りにある小さな集落の住民が心配だが、手がなく往診に行けない」と訴えました。このため、私たちは午前中はヘルスセンターで診療、午後からはモバイルクリニックとして近隣の集落へ出かける医療支援を展開。合計528人の診療を行いました。

 その中で「陣痛3日目の難産の患者を診てくれ」と頼まれたことがありました。私は妊婦診察の経験がなく、一瞬、断ろうと考えましたが、自分の他には医師はいません。意を決し、ポータブルエコー(V-Scan)で検査したところ、胎児は心拍はしっかりと確認できるものの横位でした。ここでの分娩は難しいと判断し、胎児が元気なうちに搬送がよいだろうと地元の看護師に助言し、紹介状を作成して搬送しました。とかく専門性が問われる日本の医療で育ってきた自分としては、医師としての根本的な部分を問われたような気持ちでした。

 日本からの支援者の代表として同国のナツマン首相とお会いする機会もあり、感謝の言葉をいただきました。一次隊の活動は4月2日まででしたが、HuMAの医療支援は第三次本隊に及び、5月8日には東京・八重洲で報告会も開かれる予定です。今回の被災者は16万人ともいわれ、医療支援活動で私たちが診療できたのはごく一部でしょう。バヌアツの被害には多くの方に関心を持ち続けていただきたいと、今も強く感じています。

岡山済生会総合病院救急科医長 稲葉基高

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