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膀胱尿管逆流症

vesicoureteral reflux(VUR)

解説:畑中 祐二 (富田林病院 泌尿器科副部長)

膀胱尿管逆流症はこんな病気

尿は腎臓という臓器(背中の左右腰のあたりの場所にあります)でつくられ、尿管を通って膀胱に貯められます。通常、膀胱内に圧がかかると尿管と膀胱のつなぎ目(尿管膀胱接合部)が閉じます。しかし、異常があると、このつなぎ目が閉じきらずに、膀胱内の尿が尿管や腎臓へと逆もどりする現象がおきます。

新生児までは男児に多くみられますが、その後は女児および女性に多くみられます。また、家族内発生や多因子による遺伝もあるといわれています。膀胱尿管逆流症による長期的な合併症として腎機能が低下し,腎不全に陥ることがあります。腎不全は生まれた直後からすでに始まっていることもありますが,身体成長が著しくなる思春期に明らかになることがあります。ほかの合併症には高血圧があり、やはり思春期前後から明らかになることがあります。腎臓の発育が悪かったり、腎臓に傷がついていることが原因と考えられています。このような腎臓病変を持つ子どもは注意が必要です。

膀胱尿管逆流症のしくみ
膀胱尿管逆流症のしくみ

膀胱尿管逆流症の診断

膀胱内に造影剤を入れ排尿してもらう造影レントゲン検査(排尿時膀胱尿道造影)が必要です(重症度をI~V段階で評価)。

膀胱尿管逆流症の治療

軽度の膀胱尿管逆流症は成長と共に自然に消失します。治療の第一段階は抗菌薬を一日一回少量ずつ1年ほど飲み続ける治療法が中心になります(予防投与法)。しかし予防投与法をしている期間に腎盂腎炎になったり、自然消失が期待できない重症な逆流は手術を行います。また、予防投与法に不安を抱かれる場合も早期に手術をすすめることがあります。

手術方法は、尿管と膀胱のつなぎ目を補強するために膀胱の内側から一旦尿管のつなぎ目をはずして、再度膀胱の壁の中に尿管を埋め込みなおす方法(コーエン法、ポリタノ・レッドベター法)が多く行われています。

早期発見のポイント

子供の発熱、特に赤ちゃんの発熱の原因の5~10%で尿に細菌が浸入するために起きる尿路感染があります。しかし、膀胱炎だけでは熱は出ませんが、膀胱尿管逆流症を発症すると細菌が腎臓まで送り込まれてしまいます。その結果、急性腎盂腎炎を併発すると39~40℃という高熱を出します(熱は午後から夕方にかけて上昇することが多いです)。熱以外の症状として腰背部痛が出てくることがあります。風邪症状がなく高熱を繰り返したり、昼間に尿もれが続いたり、排尿回数が多い、あるいは異常に少ないときに膀胱尿管逆流症が関与していることがあります。

予防の基礎知識

新生児・乳児では機嫌が悪かったり、食欲不振、吐き気・嘔吐などの症状を起こしたりすることもあるので、他の病気との区別が問題になります。腎盂腎炎が治りにくい場合や、何度も繰り返す場合には、膀胱尿管逆流症を疑うことが大事です。妊娠中や新生児・乳児検診の超音波検査を受けると、腎臓の腫れ(水腎症)の原因精査で見つかることもあります。

畑中 祐二

解説:畑中 祐二
富田林病院
泌尿器科副部長

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