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尿毒症

Uremia

解説:石田 武之 (高岡病院 泌尿器科部長)

尿毒症はこんな病気

尿毒症とは、腎臓の働きが極度に低下して起こる全身の変化をいい、急性あるいは慢性の腎臓障害が進行した状態です。これは、腎臓の働きが、正常の10分の1程度まで著しく低下している末期腎不全の状態であり、そのまま治療をしなければ、生命にかかわるような深刻な事態となります。なぜなら、腎臓には、老廃物を体外に排出する働き以外に、水分や電解質(ナトリウム、クロール、カリウム、カルシウム、リンなど)の調節、血圧の調整をする酵素や、赤血球を作るよう骨髄に働きかけるホルモン(エリスロポエチン)の産生機能などがあるからです。

腎臓の働きが低下すると、全身の諸臓器に機能障害が起き、さまざまな症状が現れます。
初めは疲れやすい、体がだるいなどの症状が出現し、さらに、体のむくみ(浮腫)やせき・呼吸困難、胸に水がたまる尿毒症性肺などの症状も現れます。ほかには、食欲低下や吐き気などの消化器症状や、睡眠障害、知覚異常やけいれんなどの神経精神症状がみられることもあります。また、腎臓の働きが低下すると、エリスロポエチンという造血ホルモンの産生不足や赤血球の寿命の低下により、貧血(腎性貧血)がみられることもあります。これらの症状は、すべての患者さんに同じように現れるわけではなく、尿毒症になった原因の病気や病態によっても異なっています。

尿毒症は腎不全の末期状態ですが、腎機能が緩やかに悪化すれば、自覚症状なしに進行することも少なくなく、検査して初めて分かることもあります。

尿毒症症状例
尿毒症症状例

早期発見のポイント

尿毒症は、血液検査にて、クレアチニン、尿素窒素などの値が異常を示すことによって診断されます。血液検査などにて腎機能悪化が分かれば、早急にその原因となった病気の治療を行うとともに、人工透析などの治療を並行することも考慮します。近年では、O-157などを原因菌とする腸管感染症による溶血性尿毒症症候群が有名です。
しかし、尿毒症の発症は慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)、腎不全の終末像もあるために、その基礎疾患の初期には自覚症状に乏しいこともあります。そして、体がだるい、むくみ、呼吸困難などの自覚症状が現れたときには、病気がかなり進んでいる可能性があり、すぐに血液検査を受けることが大事です。もし、CKDが見つかれば、定期的な受診をして、降圧剤や利尿剤の内服などの薬物治療や、食事療法などにて、腎機能廃絶の進行を抑えることが大切です。
また、まれに、尿管結石を両側に同時発症すると尿毒症になることもあり、過去に尿路結石を患ったことのある方も定期的な受診をおすすめします。

予防の基礎知識

尿毒症の予防として、腎機能が急激に低下して体内の老廃物(尿毒素)が排泄されない急性腎不全によるものは、「早期発見のポイント」で述べたように、基礎疾患の治療をしっかり受け、原因となっている要素を取り除き、慢性にならないようにすることが肝心です。急性腎不全は、その原因によって、以下の3つに分けられます。

1 腎前性腎不全
腎臓に流入する血液量が急激に減少したもので、脱水や敗血症などの場合に生じます。そのために、水分摂取・輸液や抗生剤投与にて予防します。


2 腎性腎不全
腎臓自体にその機能を急激に低下させる病的な変化が生じたもので、薬中毒や急速進行性糸球体腎炎などがあります。人工透析の適応にて悪化を予防します。


3 腎後性腎不全
腎臓で作られた尿が、腎盂から尿道に至る部位で何らかの原因によっての通過障害をきたし、体外へ排出されないものです。これには、両側の尿管結石や前立腺肥大症によるものなどがあります。そのために、その原因疾患の治療を行い、尿の通過障害の原因を取り除く必要があります。

以上の急性腎不全は、比較的、腎機能が悪化しても改善が認められますが、慢性腎不全は、腎機能が改善しない進行性の腎機能障害の状態です。その原因となる病気として、現在は糖尿病によるものが最も多く、ほかに糸球体腎炎などがあります。

保存的治療としては、食事療法として、高カロリー、低タンパク、塩分制限およびカリウム制限が基本となります。これは、腎機能の悪化を抑制する方法です。薬物療法としては、腎機能を回復するものはありませんが、対症療法として、高血圧に対しては降圧剤や利尿剤投与、高カリウム血症に対しては、それの排出を促す薬の投与などを行います。

石田 武之

解説:石田 武之
高岡病院
泌尿器科部長

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