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全身性エリテマトーデス(SLE)

Systemic Lupus Erythematosus

解説:渡邊 紀彦 (済生会習志野病院 リウマチ膠原病アレルギー科部長)

全身性エリテマトーデスはこんな病気

全身の皮膚、関節、血管、内臓が侵される慢性・炎症性の自己免疫疾患で膠原病のひとつです。英語ではSystemic Lupus Erythematosusといい、頭文字をとってSLEと呼ばれます。全身性エリテマトーデスでは、発熱、全身倦怠感などの炎症を思わせる症状と、皮膚、関節、内臓などにみられる様々な症状が一度に、あるいは次々に起こってきます。女性の発症率は男性の約10倍で、20~40代に多くみられます。

発熱、全身倦怠感、易疲労感、体重減少、赤い皮疹(紅斑)や関節の痛みなどの皮膚関節症状が多くの患者さんにみられます。皮疹では、両側の頬に蝶が羽を広げたような形で出現する蝶形紅斑が特徴的です。また、脱毛、レイノー現象(寒さやストレスで手指が白くなったり、紫色になったりする)や、口内炎もみられます。強い日光(紫外線)にあたった後に、皮膚に赤い皮疹、水膨れができる、あるいは熱が出るという日光過敏症もよくみられます。この症状が、病気の始まりであることも少なくありません。
さらに、以下のような様々な内臓にみられる症状(これは一人ひとり異なります)が加わることがあります。この症状が全くない軽症のタイプの人もいます。

部位 症状
腎臓 蛋白尿が現れ、むくみや高血圧がみられる
胸膜炎を起こし、肺の周りに水がたまる
肺そのものに炎症が起きて胸の痛み、息切れ、動悸、呼吸が速くなるなどの症状が現れる
まれに肺の中に出血をきたして血痰や呼吸困難が出現する
血栓や塞栓によって、肺の動脈の血流が阻害される
心臓 心膜炎を起こし、心臓の周りに水がたまる
冠動脈の炎症で狭心症や、心内膜の炎症で弁膜症が起き、心不全に至る
脳に障害が及んだ場合(中枢神経ループス)、頭痛、軽度の思考障害、人格変化、脳卒中、てんかん発作、精神障害など様々な症状を引き起こす
血栓や塞栓によって、脳の動脈の血流が阻害される

全身性エリテマトーデスの治療法

軽症のときは非ステロイド系の薬で炎症を抑えます。重症のときは入院して、副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤を使用します。副腎皮質ステロイド剤は、この病気の特効薬として知られています。さらに、最近は免疫抑制剤が使われるようになって、治療成績はさらに良くなってきています。血栓を作りやすい抗リン脂質抗体症候群を合併している患者さんでは、アスピリン、ワーファリンなどの内服によって、血栓の予防が行われます。
日常の注意としては、日光に過敏なので、なるべく皮膚を紫外線に当てないようにします。スポーツや海水浴のあとなどに発症する、または悪化することが多いので、夏は帽子や長袖のシャツを着用し、直射日光を避けるようにしましょう。また、肺炎などの感染症を併発しやすいので、風邪をひかないように注意します。

早期発見のポイント

「医学解説」で述べたような症状が見られるとき、血液検査などで疑われたときは、専門医を受診しましょう。詳細な問診と診察、検査を行い診断します。

予防の基礎知識

残念ながらはっきりした原因はわかっておらず、明確な予防の方法はありません。ある種の薬剤の影響で、自己免疫反応が起こることがありますが(薬剤性ループス)、住環境や食事など、特定の要因が発症に繋がるという証拠は見つかっていません。紫外線(海水浴、日光浴、スキーなど)、風邪などのウイルス感染、怪我、ストレス、外科手術、妊娠・出産などが、発症や病状悪化の誘因となることはあるようです。しかしながら、なぜ自己免疫反応が始まるのかはわかっていませんので、これらについてもあらかじめ避ける必要はないでしょう。

渡邊 紀彦

解説:渡邊 紀彦
済生会習志野病院
リウマチ膠原病アレルギー科部長

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