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腰部脊柱管狭窄症 (ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

Spinal Canal Stenosis

解説:上田 誠司 (横浜市南部病院 整形外科副部長)

腰部脊柱管狭窄症はこんな病気

首から腰までの背骨(脊椎/せきつい)には、脊柱管(せきちゅうかん)と呼ばれる脳から体へとつながる神経の通り道があります。1~2cmの太さを持つホースのような管が、頭から出て首の真ん中を通り、背中から腰まで届いています。そして、そこから枝が生えるように手足への神経が伸びています。
腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管が腰の部分で狭くなる(砂時計のくびれの所のように細くなる)病気です。そのため、腰から下の神経に関連する症状が出てきます。具体的には、腰の痛み、臀部(でんぶ)の痛み・しびれ、足の痛み・しびれ、足の筋力低下、歩行障害、排尿障害といった症状です。有名な症状に間歇跛行(かんけつはこう/間歇性跛行とも呼ぶ)があります。歩いていると、足が痛くなったりしびれたりして歩けなくなりますが、しばらく休むとまた歩けるようになるという症状です。排尿障害は頻尿、夜間尿に始まり、残尿感、失禁へと進行していきます。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症の治療法

この病気は、加齢現象であるともいえるので、超高齢化社会を迎えた日本では患者さんが大変増えています。横浜市南部病院でも、脊椎を対象とした手術の半分以上を腰部脊柱管狭窄症の患者さんが占めており、手術を受ける患者さんの年齢層は70代がピークです。
腰部脊柱管狭窄症と診断されたら、まずは保存的治療(手術をせずに受ける治療)を十分に受けていただき、それでも症状の改善が思わしくない場合は、手術を検討するとよいと思います。保存的治療は、ウォーキングを中心とした適度な運動、血流改善薬・鎮痛剤・ビタミン剤など内服薬の服用、血流改善薬の点滴、局所麻酔薬・ステロイドなどのブロック注射です。

早期発見のポイント

がん、心筋梗塞脳卒中などの生命に直接関わる病気では、早期発見・早期治療がとても重要になりますが、腰部脊柱管狭窄症は加齢現象といってもよいものなので、早期発見に努める必要はありません。腰の痛みや足の痛み・しびれなどの症状が出た時点で、整形外科を受診すれば全く問題ありません。

手術のタイミング

早期発見・早期治療の観点から患者さんが一番気にされることは、手術のタイミングだと思います。「今やらないと手遅れになるのではないか」、「もっと年を取ると手術を受けたくてもできなくなるのではないか」などの質問をされる方が多いです。しかし、手術も麻酔も進歩している現在では、まずそういった心配はありません。「今の状態・症状では困るから思い切って手術を受けよう」というタイミングでよいと思います。また、「今の状態で困る」というのも人それぞれだと思います。「30分歩くと足が痛いので、好きなゴルフに差し支えるから」と手術を希望した人もいますし、「5分しか歩けなくてもなんとかやっていけるので手術は希望しません」という人もいます。しかし、そうはいっても「全く歩けなくなった」、「安静にしていても足がじんじんとしびれてつらい」、「尿の失禁が・・・」などあまりにも症状が進んでしまうと、手術をしても改善が乏しいことは事実です。そのため、手術を希望しない時期であっても、整形外科に通院して保存療法を受けておく方がよいでしょう。

予防の基礎知識

腰部脊柱管狭窄症は、加齢現象の一つです。だからこそ、生活習慣によってある程度は予防可能だろうと思います。加齢により軟骨、骨、靭帯などが変性(傷むこと、機能が落ちること)して、脊柱管の狭窄を起こすわけですが、少しでもそうした変化を遅らせることで、病気の進行を予防することには意味があると思います。まず、単純に体重が重いと、軟骨、靭帯に負担がかかってしまいます。姿勢によっては体重の何倍も腰に負担がかかることがあるので、少しでもダイエットをすることで、腰への負担は大きく軽減されます。また、喫煙が軟骨や神経に悪い影響があると言われていますので、禁煙することも効果的です。

共通して言えることは、まずはウォーキングを中心とした有酸素運動を習慣にすることが大切ということです。姿勢を良くして歩くことで、体幹(体の中心、腹筋、背筋)、臀部、股関節周囲、太ももの大きな筋肉が鍛えられます。体幹の筋力がつくことで、体に自前のコルセットをつけていることになります。また、大きな筋肉がつくと基礎代謝量(安静時にも消費するカロリー)が増えてダイエットに役立ちます。食事に気をつけることはもちろんです。こうした地道なことの積み重ねが、予防につながっていくのです。

上田 誠司

解説:上田 誠司
横浜市南部病院
整形外科副部長

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