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むずむず脚症候群
(レストレスレッグス症候群/Willis-Ekbom病)

Restless Legs Syndrome

解説:近藤 英明 (済生会長崎病院 睡眠医療センター長)

むずむず脚症候群はこんな病気

レストレスレッグス症候群/Willis-Ekbom病は、脚を中心として安静を保つことが難しく、脚を動かしたくなる症状が主体です。通常、むずむずするような、何とも言いようがない不快感を伴うため、「むずむず脚症候群」とも呼ばれます。

この不快感は、「ヤキヤキする」「痛い」「しびれている」「むずがゆい」など人によって感じ方は様々です。安静時に出現し、動いている間は軽減することが特徴です。そのため、しきりに脚を動かしていたり、歩き回ったり、さすったりしていることがあります。

夕方から夜間にかけて症状が強くなるため、しばしば不眠と関連します。眠ろうと床に入ると症状が出てきて、脚をばたばたさせたり、寝返りが多くなったり、または脚を叩く、マッサージする、といった行動に出ることがあります。寝付きの悪さだけでなく、寝ている間にも手足が勝手に動いていることがあり、途中で目が覚めてしまう場合もあります。通常、真夜中までは症状が続くことがあり、明け方になってやっと眠りにつけるという日もあります。

この病気の方には、「周期性四肢運動」と呼ばれる四肢の動きが多く観察されます。周期性四肢運動は、睡眠中に1回あたり数秒程度続く手足の動きが、20~40秒間隔で繰り返されます。手足の動きに応じて心拍数や血圧が高まり、睡眠が妨げられることもあります。この現象は、自分で気付くこともありますが、正確に評価するためには睡眠時の検査(ポリソムノグラフィー)が必要です。

むずむず脚症候群の治療法

多くの場合は、ドパミン(ドーパミン)作動薬が有効です。一般的には、パーキンソン病に使用される薬剤ですが、パーキンソン病よりもかなり少ない量で症状は緩和されます。詳しくは「予防の基礎知識」の欄で述べますが、鉄やビタミンDの補充といった薬物療法も行われています。この病気は治療可能な病気です。完全に症状が消失しない場合でも、症状の軽減が可能です。

早期発見のポイント

レストレスレッグス症候群/Willis-Ekbom病は、子どもから高齢者まで幅広い年代の方にみられます。子どもが夜になると脚を痛がる場合には、「成長痛」といわれていることもありますが、この疾患を疑う必要があります。女性では妊娠中に顕在化することもあります。妊娠中に発症した場合、出産後にほとんどの方の症状は消失しますが、その後しばらくして再発することがあります。

長年、不眠として睡眠薬を服用されている方には、この病気の症状によって寝付けない、夜間に目が覚めてしまう、といったことが服用を始めるきっかけとなっていることがあります。症状としては不眠からはじまり、その後、この病気が自覚されることもあります。治療することで、睡眠薬の減薬・中止も可能となるかもしれません。下肢を主体とする症状があり、睡眠薬を服用されている方は、主治医、神経内科もしくは睡眠医療の専門家にご相談ください。

症状は変動することが、この病気の特徴です。動いている間は軽減していることがほとんどです。また、連日のように症状を繰り返す時期があっても、ほとんど問題ない期間が訪れることもあります。また、いつの間にか症状が軽減することがあるため、放置されている場合もあります。症状は軽度でも、不眠だけは高度で続いていることもあります。悪化した場合、一時的に薬物療法を行うことが可能です。

さらに、服用している薬剤がこの病気を引き起こしていないかについて、注意を払う必要があります。統合失調症で使用される抗精神病薬や眠気を催す抗ヒスタミン薬が原因となるほか、抗うつ薬が関連することもあります。薬剤開始後に「医学解説」で述べたような症状が出現した場合には、主治医とご相談ください。長期にわたり服用されている場合には、慎重に減量するなどの対応も必要となります。

多くの病気において、この病気が合併することが知られています。鉄欠乏性貧血、慢性腎不全(維持透析患者を含む)、糖尿病高血圧症、狭心症心筋梗塞心房細動脳卒中、リウマチ性疾患、肝臓病、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、パーキンソン病片頭痛うつ病、統合失調症、舌痛症などにかかっている方のうち、少なくとも10人に1~2人はこの病気が合併していることが知られています。

予防の基礎知識

鉄の欠乏は、レストレスレッグス症候群/Willis-Ekbom病と関連します。鉄欠乏の貧血がある場合以外でも、鉄の蓄えが低下していないかに注意が必要です。採血でフェリチンを確認することで鉄の不足状況が確認できます。ビタミンDの欠乏も、この病気と関連することが明らかとなっています。ビタミンDは紫外線に反応して皮膚でも合成されるため、日光を浴びることが少ない方は、不足しがちです。ビタミンD欠乏状態も採血で評価可能となっています。不足している場合には、補充することで症状の軽減が得られることがあります。

喫煙やカフェインの過剰摂取も問題となることがあり、いずれも不眠と関連します。禁煙によって症状が軽快した症例が報告されていますが、一般的には喫煙とこの病気の関連性はまだ明らかにされていません。カフェイン摂取をやめることで症状が軽快し、再開すると症状が出現した症例が少数ながら報告されています。ただし、カフェイン含有飲料・食品や類似の薬物等は多く存在しており、カフェインとこの病気の関連は明確になっていません。

この病気による不眠を軽減させるために、飲酒量が多くなる方もいます。しかし、一旦眠りにつくことはできても、アルコールの影響によって途中で目が覚めやすくなり、その際に症状が強くなる恐れがあります。連日多くの飲酒を続けている方が禁酒した際には、この病気が顕在化することもあります。必ずしも飲酒がこの病気を引き起こすわけではありませんが、飲酒との関連性には注意が必要です。

近藤 英明

解説:近藤 英明
済生会長崎病院
睡眠医療センター長

※当欄に執筆した医師の所属・役職は、異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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