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反復性過眠症

Recurrent Hypersomnia

解説:近藤 英明 (済生会長崎病院 睡眠医療センター長)

反復性過眠症はこんな病気

反復性過眠症は、その特徴的な症状を記述した二人の名前よりクライン-レヴィン(Kleine-Levin)症候群と称されています。1日のほとんどの時間に寝てしまう過眠の症状が数ヶ月の間隔で出現します。一旦過眠期に入ると、通常の生活は難しくなるものの、過眠期を脱すると心身ともに目立った異常は認めません。この病気は非常に少なく、 100万人に1~2人と推定されています。

 過眠期の症状
・1日のうち16~20時間もの長時間眠ることがある(失禁はない)
・通常よりは食べ過ぎる傾向がある(3分の1の症例では食事量が少なくなる)
・食事の嗜好が変化し、普段は食べない物にも手を出す
・発語は緩慢で別人のようなふるまいをする
・周囲に対する関心が失われる
・「夢の中にいるよう」と非現実感を訴える
・衝動的な行動が観察される

過眠期は通常10日前後で脱しますが、長い場合には数週間続くことがあります。通常、過眠の症状は年に数回の出現です。10代で発症することが多く、14年程、過眠期を繰り返しながらも、その頻度は少なくなり軽快します。しかし、症状の出現期間は個人差が大きく、特に、12歳以前と20歳以降に発症すると長期化する傾向があります。

反復性過眠症の治療法

治療薬としては炭酸リチウムが最も使用されることが多い薬剤です。過眠の症状の出現を少なくし、重症度が軽減することが期待されます。しかし、半数の症例では無効です。症例が少ないため、その有効性を医学的に明確に検証することも困難で、複数の薬剤がその有効性を期待して使用されています。

ナルコレプシー特発性過眠症で日中の眠気に対して使用される覚醒維持薬は、一部の症例で有効であることが報告されています。しかし、過眠期に覚醒維持薬を服用すると、覚醒時の焦燥感や不安感を高めて、攻撃的になることがあります。過眠期に入ると、通常の社会活動はできないため、学校や仕事は休むことを余儀なくされます。

早期発見のポイント

過眠状態に入ると性格や行動までが明らかに変化するため、周囲の人から容易に異常を察知されます。異常に長く眠るようになったことを訴えて、睡眠障害の専門医療機関を受診されることをお勧めします。初回の過眠期には、緊急の治療を要する脳炎などの病気がないかどうかについて十分に検査することが必要です。緊急に対応を要する異常がない場合には、本疾患の可能性が疑われます。

この病気は反復することが特徴的です。2回目以降の過眠の症状が出現することで、この病気は診断されます。診断された場合には、有効性が期待される薬物療法を行いつつ経過をみていきます。

女性の場合、月経周期に関連して眠気が強くなることがあります。この病気と同様の症状が出現する場合、月経関連Kleine-Levin症候群(月経関連過眠症)と呼ばれます。しかし、同程度の過眠となることは非常に少なく、世界中でもわずかしか報告されていません。経口避妊薬が有効なので、性ホルモン変動が影響し、月経前後の不快な症状である月経随伴症の一部とも考えられています。

予防の基礎知識

初回の過眠の症状はかぜ症状(くしゃみ、鼻水、せき、微熱など)の後に出現することがあり、腸炎などの消化器症状後に発症することもあります。しかし、2回目以降は明らかな誘因なく過眠症状が出現することが多く、繰り返す過眠期の予防策は知られていません。飲酒や全身麻酔後の発症も報告されていますが、因果関係は証明されていません。

近藤 英明

解説:近藤 英明
済生会長崎病院
睡眠医療センター長

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