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パーソナリティ障害

Personality disorder

解説:土田 治 (飯塚嘉穂病院 副院長・消化器病センター長・心療内科)

パーソナリティ障害はこんな病気

パーソナリティ障害は、人とは違う反応や行動をすることで本人が苦しんでいたり、周りが困っている場合に診断される精神疾患です。認知(ものの捉え方や考え方)や感情、衝動コントロール、対人関係といった機能の偏りから問題が起こります。また、パーソナリティ障害は、ほかの精神疾患を引き起こすことがあります。
パーソナリティ障害の定義は、「その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った内的体験および行動の持続的パターンであり、ほかの精神障害に由来しないもの」です。 (世界保健機構の精神疾患の診断基準(ICD-10)やアメリカ精神医学会の診断基準(DSM-IV-TR 2000)による)。
パーソナリティ障害にはいくつかのタイプがあり、アメリカ精神医学会の診断基準で10種、世界保健機構の診断基準で8種があげられています。アメリカ精神医学会の診断基準では大きく分けて、3つに分類されています。

A群(奇妙で風変わりなタイプ)
妄想性パーソナリティ障害 ...不信感や猜疑心が強い
統合失調質パーソナリティ障害 ...非社交的で他者への関心が乏しい
統合失調型パーソナリティ障害...会話が風変わりで感情の幅が狭く、しばしば適切さを欠く

B群 (感情的で移り気なタイプ)
境界性パーソナリティ障害...感情や対人関係の不安定さ、衝動行為
自己愛性パーソナリティ障害...傲慢・尊大な態度を見せ自己評価に強くこだわる
反社会性パーソナリティ障害...反社会的で衝動的、向こうみずの行動
演技性パーソナリティ障害...他者の注目を集める派手な外見や演技的行動

C群 (不安で内向的なタイプ)
依存性パーソナリティ障害...他者への過度の依存、孤独に耐えられない
強迫性パーソナリティ障害...融通性がなく、一定の秩序を保つことへの固執
回避性パーソナリティ障害...自己にまつわる不安や緊張が生じやすい

早期発見のポイント

パーソナリティ障害の共通の特徴としては、発達期から(遅くとも思春期から成人期早期から)その特徴が認められることです。認知、感情、衝動コントロール、対人関係といった広い領域に障害が起きていて、それが家庭や職場など広い場面で見られます。
アメリカの研究では、人口の15%の人がパーソナリティ障害であると報告されています。しかし、治療につながる例は少なく、実際に医療機関を受診するのは、ほかの精神障害を合併しているケースがほとんどです。
ほかの精神障害の合併については、境界性、反社会性パーソナリティ障害と薬物依存、回避性、依存性パーソナリティ障害とうつ病、回避性パーソナリティ障害と社交不安障害など、とくに結びつきが強い組み合わせがあることが知られています。
医療機関を受診するケースが最も多いのは、若い女性に多くみられる境界性パーソナリティ障害です。境界性パーソナリティ障害では、自殺未遂や自傷行為を行うことがあるので、救急医療機関につながるケースも少なくないようです。
パーソナリティ障害の原因は、まだ十分に明らかになっていませんが、生物学的特性や発達期の苦難の体験が関連しているとわかっています。また、養育者が身近にいられなかったなどの養育環境が不十分だったことや、養育期につらい体験をしたことなどが、発症と関連しているともいわれています。

予防の基礎知識

パーソナリティ障害の治療には、長期にわたって患者と治療者が協力して努力を続けることが必要です。何が問題で、どうすれば良いかを一緒に考えていきます。特に重要なのは、患者が積極的に治療に参加することです。この障害は経過中に大きく変化したり、治療によって改善する可能性が高いと考えられています。
治療では、支持的精神療法、認知行動療法、精神分析的精神療法などの精神療法やカウンセリングが行われます。境界性パーソナリティ障害に対する治療プログラムが科学的に有効であることがわかり、効果の高い治療法も開発され、実際の治療に活かされています。
薬物療法では、感情調整薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や少量の抗精神病薬がパーソナリティ障害の症状を軽くするのに有効であることがわかっています。また、合併しているほかの精神疾患の治療も重要です。
かつては、パーソナリティ障害はなかなか変化せず、長期間にわたって患者を苦しめると考えられてきました。しかし最近の研究では、パーソナリティ障害の特徴の多くは、年齢とともに徐々に軽快することが明らかにされています。また、治療によって回復が早くなると考えられるようになっています。

せんせい

解説:土田 治
飯塚嘉穂病院
副院長・消化器病センター長・心療内科

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