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歯周病(歯周炎)

Periodontal Disease

解説:竹縄 隆徳 (山口県済生会下関総合病院 歯科口腔外科医長)

歯周病(歯周炎)はこんな病気

歯周病原因細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。歯を支える歯ぐき(歯肉)や骨(歯槽骨)が壊されていく病気です。歯ぐきの内側を普段見ることができませんが、歯の根の表面のセメント質と歯槽骨との間は、歯根膜という線維で繋がっており、歯が骨から抜け落ちないようにしっかりと支えています。歯周病はこれらの組織が壊されて、最後には歯が抜け落ちてしまう病気です。日本人の35歳以上の約8割がこの病気にかかっていると言われています。歯周病の症状に日々の生活習慣が関与していることから、生活習慣病のひとつに数えられています。

※出典:『厚生労働省 平成23年歯科疾患実態調査(歯肉に所見のある者の割合)』

歯と歯肉の境目(歯肉溝、歯周ポケット)の清掃が不十分な状態が続くと、そこに多くの細菌が停滞して(歯垢の蓄積)、歯肉が炎症で赤くなったり、腫れたりします。この時点では、多くの場合痛みを伴うことはありません。

さらに進行すると、歯肉溝は歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深く広がった状態になります。そうすると、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、歯の脱落や抜歯処置が必要となります。

歯周病の仕組み

歯肉は身体の中でも非常に敏感な組織です。また、口の中は全身の中でも微生物や細菌などが最も多く存在している場所でもあります。近年の研究により、呼吸器系疾患、心疾患、糖尿病や妊娠など非常に多くの全身疾患と歯周病の関連性が指摘されています。特に糖尿病との関連は深く、歯周病を悪化させる大きな原因のひとつでもあります。
重症化して、口の中に歯周病原因細菌が多くなると、血液や呼吸器内に菌が入り、心筋梗塞・動脈硬化症・肺炎・早産などを引き起こしやすくなります。

歯周病の治療方法

現在では歯周病は予防することができ、また治療も可能です。 大切なことは予防、診断、治療、そしてメンテナンスです。

1 歯周基本治療
進行の程度にかかわらず、初めに行われるべき治療が歯周基本治療です。原因である歯垢(プラーク)の除去および歯石の除去、歯根の表面の滑択化(滑らかにすること)、ぐらぐらする歯の咬み合わせの調整などを行います。

・プラークコントロール:歯垢の除去を行うこと。歯磨きが主となる。除去が不十分な場合は、歯科医院で器械的に除去することもある
・スケーリング:歯や歯根の表面に付着した歯垢や歯石を、スケーラーと呼ばれる器具で取り除くこと
・ルートプレーニング:歯根の表面のざらつきや、歯石、毒素や微生物で汚染された表層を滑沢にして除去する方法。多くの場合スケーリングと同時に行われる

これらの基本治療により、歯周組織が改善され、歯周ポケットの深さが基準値(2~3mm)を維持できるようになれば、メンテナンス(定期検診)に移行します。

2 歯周外科治療
歯周基本治療を行ったにもかかわらず、一部歯周ポケットの深さが改善されず、歯周ポケット内の細菌や汚れをブラッシングで除去できない状態や、歯周病の改善が見込めない場合に、外科的に歯肉を切開して炎症を起こした組織や歯垢、歯石を除去した後、歯肉を縫い合わせることで歯周ポケットの深さを減少させるフラップ手術という治療法があります。
また特殊な材料を使用して、部分的に失われた骨を再生させる手術(再生療法)を行う場合もあります。それぞれの病態にあった方法が適応されます。
これらの治療により、歯周ポケットの深さが改善されれば、メンテナンスに移行します。

早期発見のポイント

下記の項目に3つ以上該当する場合は、歯周病が進行している可能性があります。
下記の項目に該当する場合は、歯周病の症状が疑われるため、歯科を受診しましょう。

・口臭が気になる
・起床時に、口の中がネバネバする
・歯肉がむずがゆい、痛い
・歯磨きの際によく出血する
・歯肉が赤く腫れている(健康的な歯肉はピンク色)
・硬い食べ物が噛みにくい
・歯が長くなったような気がする
・歯並びが悪くなり歯と歯の間に隙間がでてきた、食べ物がよく挟まる

予防の基礎知識

歯周病の原因は歯垢なので、歯垢を溜めない、増やさないことが基本です。
正しい方法で、毎日歯を磨きましょう。歯と表面、特に歯と歯ぐき(歯肉)の境界を、歯垢のない清潔な状態に保つことが最も大切です。
また歯石ができて歯肉溝の中まで入っている場合は、歯石を完全に取り除き、さらに歯根の表面を滑らかにするなど、炎症を引き起こす細菌を徹底的に除去することが必要です。これは自身で行うことはできないので、定期的に歯科を受診し、歯科衛生士による専門的なクリーニングを受ける必要があります。

竹縄 隆徳

解説:竹縄 隆徳
山口県済生会下関総合病院
歯科口腔外科医長

※当欄に執筆した医師の所属・役職は、異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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