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智歯周囲炎

Pericoronitis of the wisdom tooth

解説:尾古 俊哉 (兵庫県病院 院長補佐(兼)歯科口腔外科部長)

智歯周囲炎はこんな病気

智歯周囲炎とは、智歯(親知らず)が原因で起こる歯肉・歯周組織の炎症のことです。

現代人の顎の骨や歯は退化傾向にあります。特に智歯は退化傾向が強く、生える時期は一番遅くて一定せず、正常に生える人は少なくなっています。生まれつき無い人もいます。生える場所は奥歯(第二大臼歯)のさらに奥なので、生えるためのスペースがなく、斜めに倒れたり横向きにうずもれることも多くあります。正常に生えない場合、前の歯(第二大臼歯)との間に深いポケットができます。こうなると歯の汚れをきれいにすることが難しく細菌の温床となり、それが原因で歯肉炎・歯周炎を起こしやすくなります。

智歯(親しらず)の位置
智歯(親しらず)の位置

智歯周囲炎は段階を追って悪くなります。まず、智歯周囲の歯肉が腫れて、触ると痛い、膿が出るという症状が現れます。次に、腫れの範囲が広がり、ものを飲み込むのがつらくなります。さらに、口が開きにくくなり、他人が見て顔が腫れているのが分かるようになります。発熱や全身の倦怠感が現れる場合もあります。炎症が広い範囲に及ぶことを、頬部蜂窩織炎(きょうぶほうかしきえん)と呼びます。頬部蜂窩織炎になると、腫れは口底、顎の下から頸部へ広がり、膿がたまります。体温は上昇し、全身倦怠感が強く、水を飲むことも難しくなります。
他の細菌感染症と同様に、体調の悪いときや、身体の抵抗力が落ちているときに起こりやすいですが、糖尿病、ステロイド薬長期服用、免疫力の低下している方は重症化する傾向にあります。

智歯周囲炎の治療法

軽症の場合は、腫れている歯肉を洗浄して抗菌薬を飲むことで治ります。しかし、進行して顔が腫れてくると飲み薬では治らないこともあり、その場合、抗菌薬の点滴が必要となります。さらに重症化して頬部蜂窩織炎へ伸展した場合には、大学病院・総合病院口腔外科への入院治療が必要となってきます。
一度炎症を起こした智歯は、繰り返し炎症を起こすことが多いので、抜歯した方が良いでしょう。ただし、炎症を起こしている間の抜歯はできないので、腫れ、痛みが治まった後に抜歯します。抜歯は簡単なものから難しいものまでさまざまです。簡単な場合は、奥歯の抜歯と同等のダメージで済みますが、深い位置に横向きにうずもれている場合は、抜歯後1週間ほどひどく腫れて痛みを伴います。

早期発見のポイント

歯科医院でレントゲン写真を撮られたときに、智歯(親知らず)があるのか確認しておきましょう。また、正常に生えているのか、あるいは炎症を起こしやすい状態なのかも聞いた方が良いでしょう。
智歯の歯肉が痛くなったときは、すぐに歯医者に行きましょう。我慢しているうちに進行して、口が開かない、飲み込めない、顔が腫れてきたなどの症状が現れた場合は、大学病院・総合病院口腔外科に行かなければならなくなります。

予防の基礎知識

智歯(親知らず)が斜めに倒れていたり、横向きにうずもれている場合は、将来問題を起こす可能性が高いです。心身が疲れているときに炎症が起こりやすいので、毎日が忙しい、大事な用事があるときに限って炎症が起こります。また、妊娠中も起こりやすいです。ただし、炎症が起こっている間は原則として抜歯はできません。そう考えると時間に余裕があるうちに抜歯をした方が良いと考えられます。

尾古 俊哉

解説:尾古 俊哉
兵庫県病院
院長補佐(兼)歯科口腔外科部長

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