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パーキンソン病

Parkinson's Disease

解説:原 一 (済生会神奈川県病院 神経内科部長)

パーキンソン病はこんな病気

パーキンソン病は特に誘引がないにもかかわらず、手足や体に震えが生じる、筋肉が固くなり関節がこわばる、身体が動かしにくくなり動作が緩慢になる、身体のバランスや姿勢を保つことが困難になるといった症状で発症します。これらの症状は、きちんと治療をしなければ徐々に進行していきます。また、たとえ症状があっても頭部CTやMRIといった検査での異常は検出されません。ただし、パーキンソン病と似た別の病気(パーキンソン症候群など)でないかを知るためにこれらの検査を行う場合もあります。

この病気は主に、脳の奥深くの中脳に存在するドーパミン神経(ドーパミンという物質により情報伝達をする神経)に障害が起き、身体運動のコントロールに支障をきたすことで身体の動きそのものに異常が出るものです。この異常を自転車で例えるなら、ドーパミン神経はブレーキを操作するレバーのようなもので、パーキンソン病はレバーが壊れてブレーキがかかりっぱなしになり、ペダルをうまくこげなくなった状態と考えることができます。また、最近では便秘や嗅覚の低下、レム睡眠時における異常行動などが、運動障害に先行して出現することが注目されています。

大部分の患者さんには、親戚などの血縁者に発症者(遺伝歴)がなく、血縁者由来の家族性パーキンソン病は全体の10%以下といわれています。原因は不明ですが、パーキンソン病は遺伝的な要因と環境的な要因の両方によって発症すると考えられています。

パーキンソン病の治療法

パーキンソン病の治療には、薬物治療や外科治療、理学療法があります。治療に使用する薬剤は大きく分類して9系統あり、その系統内にそれぞれ数種類の薬があります。脳内で減少したドーパミンを補う薬やドーパミンの減少をおさえる薬、ドーパミンの代わりに神経を刺激する薬などです。多くの患者さんはこれらの薬剤を服用することで、少なくとも数年以上は日常生活や社会活動に支障がない程度の治療効果を得ることができます。

発症年齢にもよりますが、発症から数年~十数年が経過すると患者さんの神経障害が進行するため、徐々に投与する薬の効果は弱まっていき、合併症も発症しやすくなります。このように薬剤内服の効果が弱まり、持続時間が大幅に短くなる場合(これを「wearing-off現象」といいます)、外科的に手術を行うことで投薬の効果を上げることもあります。手術療法は脳に細い電極を挿入し、微弱なパルス電流を流して、周囲数ミリ範囲の神経細胞の異常活動を抑制する「深部脳刺激療法(DBS:Deep Brain Stimulation)」と呼ばれるものが一般的です。

治療にはリハビリテーションも重要で、歩行障害などの運動症状が目立つようになった場合でも、定期的な運動を行うことが身体機能の維持に役立ちます。現在、日本国内も含め、遺伝子治療などの試みも世界中で行われています。

早期発見のポイント

手の震えや歩行困難などの運動症状の異変が起きて、病気であることに気づくことが多いのがパーキンソン病です。患者さん本人にはあまり自覚症状がなくても、家族や友人から"歩き方が小刻みになった"とか"無表情になった"、"声が小さくなった"などと指摘されることも珍しくありません。また、自覚的には震えのほかにも"書く文字が小さくなった"、"歩行中に止まれなくなった"、"歩き始めや方向転換で足がすくむ"などの訴えもみられます。

以前より便秘がひどくなるといったこともよくある合併症の一つです。このような自覚症状や他人からの指摘があった場合は、すぐに神経内科の専門医を受診してください。詳細な診察や画像検査(心臓交感神経の検査を含む)を通じて、診断を行います。

予防の基礎知識

パーキンソン病の原因については不明な点が多く、絶対的な予防方法はありません。しかし、一般的に神経の障害(変性)を防ぐ方法としては、適切な食事を取ることと適度な運動をすることが挙げられます。緑黄色野菜を積極的に摂取し、過度の飲酒を避けて、バランスのよい食生活を送りましょう。

また、適度な運動(少し脈が速くなる程度)を毎日継続することは、脳の萎縮を防ぐという研究報告もあります。極度の疲労にならないよう運動を継続してください。パーキンソン病は難病であるため、特定疾患の指定を国から受けており、一定の条件(重症度)を満たした患者さんは、医療費の助成などが受けられます。

原 一

解説:原 一
済生会神奈川県病院
神経内科部長

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