ホーム >  症状別病気解説 >  起立性調節障害

起立性調節障害

Orthostatic Dysregulation

解説:田内 宣生 (愛知県済生会リハビリテーション病院 副院長)

起立性調節障害はこんな病気

起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、思春期前後の小児に多く見られ、起立時にめまい、動悸、失神などが起きる自律神経の機能失調です。
人の身体は、起立すると重力によって血液が下半身に貯留し、静脈を経て心臓へ戻る血液量が減少し血圧が低下するので、これを防ぐために自律神経系の一つである交感神経が興奮して下半身の血管を収縮させ、心臓へ戻る血液量を増やし、血圧を維持します。しかし、自律神経の機能が低下した結果、このメカニズムが働かず、血圧が低下し脳血流が減少するため多彩な症状が表れます。例えば、めまい、動悸、失神のほか、疲れやすい、腹痛、吐き気、嘔吐、頭痛、胸痛、食欲不振、朝起きられないなどの症状がよく見られます。

起立性調節障害の診断

起立性調節障害の診断には、下表の診断基準が以前からよく用いられています。方法は、10分間の起立負荷試験を行い診断します。「大症状3つ以上」「大症状2つと小症状1つ以上」「大症状1つと小症状3つ以上」のいずれかに該当し、他の疾患を除外できれば起立性調節障害と診断します。

起立性調節障害の診断基準
起立性調節障害の診断基準

起立性調節障害の治療

規則正しい生活を心掛け、循環血液量を増やすため、十分な水分と塩分を摂取します。心臓へ戻る血液量を増加させるために、運動により下半身の筋肉量を増加させ、筋肉ポンプの働きを高めることも有効だと思われます。
薬物療法として昇圧剤の内服が行われますが、漢方薬が著しく効果的である場合もあります。

早期発見のポイント

10代前半に発症のピークが見られます。男児に比して女児に多く、家族内発生も少なくありません。診察時によくよく尋ねてみると、両親、特に母親の思春期前後に同様の症状があったというケースが珍しくないので、家族の病歴にも注意しましょう。
また、春から秋にかけて、特に新学期の時期に症状が悪化し、午前中の時間帯に症状が目立ちます。小児の胸痛の主な原因でもあり、胸痛のあるときはこの疾患を一度思い浮かべてみるといいと思います。

予防の基礎知識

起立性調節障害は、体質によるところが大きい疾患です。さらに、その症状は「医学解説」で述べたように、めまい、動悸、失神、疲れやすさ、腹痛、吐き気、嘔吐、頭痛、胸痛、食欲不振、朝起きられないなどさまざまです。このような不定愁訴(何となく体調は悪いが、原因はよく分からない状態)は、しばしば、怠け、不登校、神経症などと見誤ることがあり、本人にとってはつらい症状であることに加え、周囲の誤解に深く傷つき悩むことになります。この疾患の存在に早く気づき、小児科などに受診すれば、多くの場合、治療は容易です。また、10代前半の好発年齢を過ぎると症状は軽減します。家族や学校関係者の理解が大切な病気です。

田内 宣生

解説:田内 宣生
愛知県済生会リハビリテーション病院
副院長

※当欄に執筆した医師の所属・役職は、異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

▲ページトップへ