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筋肉痛

muscular pain

解説:白倉 祥晴 (大牟田病院 整形外科医長)

筋肉痛の仕組み

運動後に、身体のいたるところが痛くなった経験は、誰しもあるのではないでしょうか。一般的に、運動した数時間後から数日後に発生する遅発性の筋肉の痛みを、「筋肉痛」と呼びます。
現代医学でも、筋肉痛が起こるメカニズムについては、まだ完全に解明されていませんが、運動を行うと筋肉の中に乳酸などの疲労物質がたまってくることが分かっています。このたまった疲労物質が、筋肉痛を引き起こすと考えられています。
また、筋肉が収縮を繰り返すと、筋肉自体が小さな断裂を起こしたり、周りの結合組織が傷ついたりするという説があります。この傷ついた部分が炎症を起こすことによって、痛みが発生すると言われています。
さらに、傷ついた筋肉は、一度分解されて同じ部分に新しい筋線維が合成されるので、この際に起こる炎症も筋肉痛の原因の一つと考えられています。この過程において、血液が集まることによってうっ血が生じることも、痛みの原因であると言われています。

早期発見のポイント

典型的な筋肉痛は、運動後、早ければその日のうちに、遅くとも1~2日後には発生します。
身体に感じる他の痛みと同じように、筋肉痛は身体の防御反応として生じているので、そこから2~3日の休息をおきましょう。筋肉痛はどれくらいの期間で治るという目安はありませんが、たいていの場合は数日で痛みがなくなります。運動不足の人は筋肉痛になりやすく、普段から運動をしている人よりも痛みが長引くことが多いと言われています。
症状が長く続く場合は、筋挫傷(肉離れ)や筋断裂の可能性があるので、整形外科を受診することをお勧めします。必要に応じて、レントゲン写真やエコー、MRIなどの検査を行って、他の疾患ではないかどうかを診断します。
また、運動や重い物を持つというはっきりした原因が思いあたらない筋肉痛は、膠原病(こうげんびょう)などの内科疾患や、服用している治療薬(高コレステロール血症、骨粗鬆症など)の副作用である可能性も考えられるので、かかりつけの医師に相談してください。

予防の基礎知識

筋肉痛を防ぐためには、運動前のウォームアップと、運動後のクールダウンが有効です。
運動前にウォームアップをして、安静時に硬くなっている筋肉を、柔軟に動かせる状態にします。その方法は、ウォーキングや軽いジョギングをして身体を温めることです。ある程度身体が温まったら、ストレッチを行います。運動中の怪我防止や、運動パフォーマンス向上のためにも重要です。
また、運動を急にやめると、筋肉内の血の流れが一気に遅くなって乳酸がたまります。運動後に軽いジョギングやストレッチを行って筋肉をほぐし、乳酸がたまるのを防ぐことをクールダウンと言います。
激しい運動を行うと筋肉の温度は上昇し、筋線維が少しだけ傷ついた状態になります。その後一定の時間が経つと、傷ついた組織は炎症やむくみを起こし始めます。この反応は筋肉の回復に必要なものですが、必要以上に熱を持ったりむくんだりすると、周りの組織まで傷つけることになるので、かえって回復が遅れてしまいます。それを防ぐためには、アイシングが効果的です。アイシングとは、運動した身体を氷などによって冷やすことです。上昇した筋肉の温度を低下させて、筋肉の中で発生しそうな炎症などの反応を落ち着かせるために行います。時間としては15~20分くらいを目安として、皮膚の感覚が鈍くなってきたら一度アイシングを中止し、しばらくして感覚が戻ってきたらまた冷やす、という流れを2~3回行います。これを1セットとして、運動直後から24時間後くらいまでの間に2~3セット行いましょう。筋肉の状態が落ち着いてきてからは、冷やすよりも温めて血行をよくした方が、疲労回復が早くなると言われています。したがって、入浴することも全身に筋肉痛を残さないために効果的です。

白倉 祥晴

解説:白倉 祥晴
大牟田病院
整形外科医長

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