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髄膜炎(ずいまくえん)

Meningitis

解説:杉浦 崇浩 (静岡済生会総合病院 新生児科科長)

髄膜炎はこんな病気

髄膜(ずいまく)とは、頭蓋骨と脳の間に存在し、脳を包み込んで保護している膜です。髄膜は3枚の膜(脳に近い方から軟膜、くも膜、硬膜の3層)から成り立っています。軟膜とくも膜との間にはくも膜下腔というスペースがあり、中には脳脊髄液(のうせきずいえき)という栄養豊富な液体が存在しています。この髄膜に、細菌やウイルスが感染して炎症が起こると髄膜炎になります。髄膜炎は大きく分けて、「ウイルス性髄膜炎」と「細菌性髄膜炎」の2つがあります。細菌性髄膜炎は、ウイルス性髄膜炎よりも非常に重い病気です。ウイルス性髄膜炎は通常1週間ぐらいで治癒し、後遺症もほとんどみられません。一方、細菌性髄膜炎は現在の最善の治療を行っても、死亡率は数%~十数%と高く、後遺症も患者さん全体の20~30%程度にみられます。

髄膜と各部の名称

髄膜炎の治療法

ウイルス性髄膜炎の場合は安静にし、嘔吐や頭痛で水分がとれない場合には点滴を行います。また、細菌培養の結果が判明するまで(細菌性髄膜炎でないと確定されるまで)抗生剤を使用することがあります。細菌性髄膜炎の場合は、抗生剤の点滴を中心に集中的な治療が必要となります。

早期発見のポイント

発熱・頭痛・嘔吐が3大症状です。また、首が硬く曲げにくくなります(項部硬直/こうぶこうちょく)。さらに、意識が低下したり、けいれんを起こしたりすることもあります。注意が必要なのは、新生児が髄膜炎にかかった場合です。典型的な発熱・嘔吐などの症状がなく、なんとなく元気がなかったり、ミルクや母乳の飲みが悪かったり、逆に異常に興奮したりするというだけの場合があります。

髄膜炎かなと思ったら -検査・診断方法

ウイルス性髄膜炎か細菌性髄膜炎か診断するために、髄液検査が行われます。これは、腰椎穿刺(ようついせんし/腰の脊椎に針を刺すこと)をして採取した髄液を検査するというものです。ウイルス性髄膜炎では、髄液の見た目は透明です。細胞数は、リンパ球が増加しており、糖やタンパク質は正常値を示す場合が多くみられます。一方、細菌性髄膜炎では、髄液の見た目は濁っています。細胞数は顆粒球(かりゅうきゅう/白血球の一種)が増加し、糖は低下、採取した髄液の底に細菌がたまっているなどの特徴がありますが、最終的には髄液の細菌培養検査で確定します。また、細菌性髄膜炎の場合、血液中の成分を分析する一般血液生化学検査を行うと、白血球は数の増加とともに核が左方に移動している現象がみられます。CRP(体内で炎症性の刺激や細胞の破壊が生じると急激に増加するタンパク質成分)の値は高度に上昇し、さらに頭部MRIや頭部CT検査も必要です。

予防の基礎知識

細菌性髄膜炎は現代でも発症すれば致死率が高く、また救命できても脳神経麻痺や知的障害など、重い後遺症を残すことがあります。発熱、頭痛、嘔吐などの症状が重なった場合、または項部硬直などの髄膜刺激症状(髄膜が刺激された際に出る症状)、あるいは発熱に伴う意識障害、けいれんなどの症状などが現れた場合は、迅速な診断と、適切な治療の早期開始がカギとなるので、すぐに病院を受診してください。また、細菌性髄膜炎の約8割は、ヒブ(インフルエンザ菌b型)と肺炎球菌が原因で起こります。この2つの菌は予防接種によってほぼ予防ができるので、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンを接種することが大切です。

杉浦 崇浩

解説:杉浦 崇浩
静岡済生会総合病院
新生児科科長

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