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悪性リンパ腫

Malignant lymphoma

解説:太田 健介 (中津病院 血液内科部長)

悪性リンパ腫はこんな病気

人の身体には、病原体から自らを守る免疫システムが備わっています。免疫細胞の主役は白血球で、マクロファージ、リンパ球、顆粒(かりゅう)球などがその仲間です。リンパ球は、体内に侵入してきた病原体を排除する重要な役割を担っています。そのリンパ球ががんになって異常に増える病気が悪性リンパ腫です。
悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2種類に大きく分けられます。日本人の場合はホジキンリンパ腫は少なく、ほとんどが非ホジキンリンパ腫です。非ホジキンリンパ腫は、さらにB細胞リンパ腫とT/NK細胞リンパ腫に分類されます。

悪性リンパ腫の治療法

悪性リンパ腫は、第I期~IV期の4段階で進行していきます。I期・II期はリンパ腫が横隔膜を境とした身体の片側にとどまっている状態で、III期・IV期はリンパ腫が横隔膜の両側にある状態です。さらに、CTやPET/CTを使って全身への広がりと進行状態を調べ、治療方針が決定されます。治療は、抗がん剤による化学療法、放射線療法が主体ですが、効果が見られない場合は造血幹細胞移植、モノクローナル抗体療法などが行われます。他のがんと比べて化学療法がよく効きますが、患者さんの2人に1人以上が再発すると言われています。
悪性リンパ腫は血液のがんでは最も患者数が多く、非ホジキンリンパ腫は人口10万人に対して10人強です。特に中高年に多く、高齢化の影響で患者が増加傾向にあります。

悪性リンパ腫の進行期分類

早期発見のポイント

悪性リンパ腫は、他のがんと同じように早期発見、早期治療がとても重要です。最も一般的な症状は、リンパ節の腫れです。首の周りやわきの下、足の付け根にあるリンパ節にしこりがよく見られます。そのほか、鎖骨、あごの下、腹部、膝の裏などのリンパ節が腫れることもあります。風邪を引いたりしてもリンパ節は腫れますが、手で触ると痛みがあります。しかし、悪性リンパ腫のしこりは、押しても痛くないのが特徴です。やわらかくて、丸みのある、グリグリした塊で、徐々に大きくなっていきます。こんな症状に気づいたら、できるだけ早く血液内科の専門医がいる医療機関へ受診することをお勧めします。また、胸部や腹部などにあるリンパ節のように、身体の表面からは触れることができない場所で悪性リンパ腫が発症した場合は、健診などで偶然発見されることがあります。ほかに、発熱、倦怠感、体重減少などの症状が現れるケースも見られます。

予防の基礎知識

悪性リンパ腫の原因はほとんど解明されていません。したがって、予防方法は今のところありません。しかし、悪性リンパ腫の一部はEBウイルスや、成人T細胞白血病リンパ腫の原因であるHTLV-1ウイルス、また、胃潰瘍を引き起こすことで知られるピロリ菌などの感染との関連が明らかになっています。HTLV-1ウイルス感染は、ウイルス保有者(キャリア)の感染した血液細胞が、他の人の体内に入ることによって起こります。そのため、主な感染経路である母子感染、性行為感染などに注意することや、また、ピロリ菌が陽性であれば除菌をすることが、悪性リンパ腫の予防にもつながると言えます。

太田 健介

解説:太田 健介
中津病院
血液内科部長

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