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肺がん

lung cancer

解説:濱本 泰 (今治病院 放射線科部長)

肺がんはこんな病気

肺がんは、肺の組織から発生した「原発性肺がん」と、大腸がん乳がんなど、他の臓器にできたがんが肺に転移した「転移性肺がん」に分類されます。単に肺がんと言う場合は、「原発性肺がん」を指すのが一般的です。ここでは、原発性肺がんについて解説します。(以下「肺がん」=「原発性肺がん」を指します。)

日本では、部位別がん死亡数は、肺がんが1位となっており、国をあげて研究や予防に取り組む必要があると言えます。肺がんの原因として最も重要なのが喫煙です。「1日の喫煙本数×喫煙年数」の数値が大きいほど、肺がんになるリスクが高くなります。また、自分が喫煙していなくても、受動喫煙により、発がんのリスクは増すとされています。ちなみに、喫煙は肺がんだけでなく、他のがんも引き起こすことが知られています。
肺がんの多くは、初期には発生部位にとどまっていることが多いですが、次第に周囲のリンパ節への転移や、肺内の別の場所、骨、肝臓、脳、副腎などに遠隔転移を起こすようになります。
肺がんは、一般的に細胞の種類により、大きく2つに分類されます。肺がんの10~20%を占め、増殖が速くて転移を起こしやすい「小細胞肺がん」と、それ以外の80~90%を占める「非小細胞肺がん」で、それぞれに適した治療が行われます。

非小細胞肺がんの治療法

発生した部位付近にとどまっており、手術で完全に取りきれる可能性がある場合は、原則として手術が行われます。高齢者や重い合併症があるなど、手術が難しい患者さんに「早期非小細胞肺がん」が見つかった場合は、がんを正確に狙って放射線をピンポイントで照射する、特殊な放射線治療(定位放射線治療)が行われることがあります。
肺がんが少し進行して、周囲の臓器へ入ったり、付近のリンパ節へ転移したりして、手術で完全に取り除くことが難しい場合は、主に放射線治療を行います。比較的若くて体力がある患者さんには、放射線治療と抗がん剤投与を併用した、強力な方法で治療を進めます。
遠隔転移がある場合は、抗がん剤による治療が中心となります。骨に転移するなどして強い痛みがあるときは、痛みを緩和するために、痛みの原因となる部位に放射線治療が行われる場合があります。

小細胞肺がんの治療法

転移を起こしやすく、抗がん剤が比較的よく効く、という性質があるため、抗がん剤による治療が中心となります。放射線も比較的効きやすいため、胸部の比較的狭い範囲にとどまっている場合には、抗がん剤治療と放射線治療を併用する治療法も考えられます。
遠隔転移がある場合は、抗がん剤治療を行います。小細胞肺がんは、脳に再発しやすいという性質があるため、目に見える脳への転移がない場合でも、予防的に脳に放射線照射を行うことがあります。

早期発見のポイント

肺がんによる症状として、以下が多く見られます。

1 せきが続く(1カ月近く経ってもよくならない)
2 血痰が出る
3 胸の痛みが続く
4 歩行、肉体労働時などに息切れする
5 体重減少、発熱が続く、倦怠感がある
6 肺炎を繰り返す

しかし、これらは肺がんのみに該当する症状ではありません。また、転移を伴う肺がんの場合は、転移した先の臓器の症状も伴うため、さまざまな症状が見られます。
注意しなければならないのは、早期の肺がんは多くの場合、自覚症状がないということです。したがって、早期発見するためには、肺がん検診が重要と考えられています。
現在、肺がん検診では、胸部X線写真(レントゲン写真)が推奨されています。さらに、「1日の喫煙本数×喫煙年数」の数値が400~600以上の人には、胸部X線写真と、痰の細胞検査の併用が推奨されています。
そのほか、CTによる肺がん検診も行われています。CTによる肺がん検診は、小さい肺がんを発見する能力には優れているものの、撮影に伴う放射線被ばく量が大きいこと、過剰診断の弊害があること(治療の必要がない病気まで見つかってしまい、患者さんに心理的・経済的負担をかけてしまう)、CT検診の効果自体が不明、などといった理由で現在は希望者だけに行われています。

肺がんかなと思ったら

せきや血痰が続き、肺がんが心配な時には、呼吸器内科医がいる病院を受診しましょう。かかりつけの内科医がいる人は、まずはかかりつけ医を受診して、診察や胸部X線写真撮影を受けた上で、指示を仰いでもよいでしょう。肺がん検診で精密検査が必要と言われた場合には、必ず指示に従って精密検査を受けてください。

予防の基礎知識

予防法としてまず挙げられることは、「喫煙しない」ということです。喫煙習慣がある人は、禁煙することから始めましょう。さらに、喫煙しないことは、他のさまざまな部位のがんの予防にもつながります。また、一時期「β-カロチン」が肺がんを予防する、という効果が注目されました。しかし、喫煙者がサプリメントなどで大量に摂取すると、逆に肺がんを発症するリスクが増すという報告があるので、注意が必要です。
がんが発生するメカニズムは、まだ十分には解明されていません。したがって、肺がんに限らず「こうすれば絶対にがんにはならない」といった予防法はありません。肺がんに関しては、まず喫煙をしない、そして定期的に肺がん検診を受ける、といったことが大切だと言えます。

濱本 泰

解説:濱本 泰
今治病院
放射線科部長

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