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急性白血病

Leukemia

解説:渡辺 健太郎 (東京都済生会中央病院 血液・腫瘍・感染症内科医長)

白血病はこんな病気

血液は、酸素を運ぶ赤血球、ウイルスなどの外敵を攻撃する白血球、血液を固める血小板、及び血漿(液体)からなっています。
赤血球、白血球、血小板は、骨髄にある多能性造血幹細胞が分化、成熟してできます。つまり、もとは同じ一つの細胞なのです。白血病は、この造血細胞が腫瘍化して、骨髄で異常に増殖することで発症します。白血病になると、骨髄の中で白血病細胞(腫瘍細胞)が異常増殖するため、血液を作ることができなくなり、正常な血球(赤血球、白血球、血小板)が減少します。
かつて白血病といえば、死に至る病気として恐れられていましたが、今では医学の進歩により、治癒が期待できる病気の一つになっています。とはいえ急性白血病の場合、治療せずに放置すると発症して1カ月ぐらいで死亡すると言われています。したがって、診断がついたらできるだけ早く治療を始める必要があります。
なお、日本での白血病の年間発症率は人口10万人あたり約5人とされています(未治療でも数年間生存し慢性経過をたどる慢性白血病と急性白血病の比率は1:4)。白血病の原因は明らかではありませんが、最近の研究では、いくつかの遺伝子異常が重なって発症すると考えられています。

白血病の治療法

急性白血病を発症すると、体内の白血病細胞は1兆個に増加します。治療の第一段階は、抗がん剤を使った化学療法で完全寛解を目指します(初回寛解導入療法)。完全寛解とは、骨髄中の白血病細胞が5%未満になり、正常な造血機能が回復した状態をいいます。寛解は「治癒」を意味する言葉ではありません。というのは、完全寛解の状態でも患者さんの体内には少数の白血病細胞が残存しており、放置すると再発する可能性が高いからです。
白血病の治療では、白血病細胞を完全に根絶やしにすることが重要です。したがって、寛解導入療法後に残った白血病細胞を根絶させる化学療法を行います。これが、地固め療法です。地固め療法が成功すれば、治癒ということになります。

早期発見のポイント

1 貧血症状:顔面蒼白、全身倦怠感、動作時の動悸・息切れなど
2 感染症状:発熱、咽頭痛、下痢など
3 出血症状:紫斑、鼻出血、歯茎からの出血など

白血病は正常な血液細胞が減っていくため、さまざまな症状が現れます。
酸素を運ぶ赤血球が減ると、貧血になったり、全身がだるく感じ、疲れやすくなります。ちょっとした動作で動悸や息切れが見られるようになり、それまで歩いていた距離が歩けなくなることもあります。さらに、顔面蒼白も特徴的な症状の一つです。
また、白血球が少なくなると、免疫が低下し、原因不明の熱が続いたり、感染症を起こしやすくなったりします。発熱は感染症を示唆する重要な症状です。
一方、血小板が減少すると、鼻血や歯茎からの出血が見られるようになります。ぶつけたり転んでもいないのに、体中に皮下出血や紫斑(青あざ)ができやすくなります。

白血病の検査・診断

白血病になると、通常、血液中に白血病細胞が多数認められますが、白血球数が正常範囲だったり、逆に減少していたりする場合もあります。このため、病気を確定診断するために骨髄検査を行って、白血病細胞を確認します。骨髄検査は、骨髄を穿刺して血液を採取して検査します。外来でも普通に行われている検査です。

造血幹細胞移植

白血病の再発の危険が高い患者さんには、地固め療法の段階で造血幹細胞移植を行うことも検討されま す。造血幹細胞移植は、患者の骨髄細胞を壊滅させた上で、ドナーの正常な造血幹細胞を移植して正常な骨髄機能を回復させ、健康な血液を作れるようにするた めの治療法です。白血病が恐れるに足りない病気になった背景には、こうした移植技術の進歩もあると言えます。

造血幹細胞移植を行うには、患者と白血球の型(HLA)が一致する造血幹細胞を提供してくれる ドナーが必要になります。造血幹細胞移植は、移植したドナーのリンパ球が患者の臓器を異物として攻撃してしまう「移植片対宿主病」(GVHD:graft versus host disease)など、副作用に対する細心の注意を払う必要がある治療法です。

渡辺 健太郎

解説:渡辺 健太郎 
東京都済生会中央病院
血液・腫瘍・感染症内科医長

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