ホーム >  症状別病気解説 >  不眠症

不眠症

Insomnia

解説:山田 康弘 (横浜市南部病院 精神科部長)

不眠症はこんな病気

日本は都市化が進んで夜型の生活を送る人が増え、5人に1人は睡眠になんらかの問題を抱えているといわれています。睡眠は栄養・運動と並んで健康を維持するために不可欠な要素で、眠れないことは心身ともにつらいことです。そして高齢であること、健康感がないこと、ストレスや悩みがあること、普段運動していないことは、不眠と関連があるとされています。

不眠には高血圧糖尿病、肥満を伴うことが多くみられ、生活習慣病と密接な関係があります。睡眠時間が短くなりすぎると、ストレスホルモンや自律神経の乱れを介して、生活習慣病が悪化すると考えられています。
また、睡眠は脳の働きを回復させるために必要です。眠れない状態が続くとうつ病になる危険性が高くなります。うつ病の大部分は不眠を伴います。夜中に何度も目が覚めて朝早く目が覚めてしまうのは、うつ病に特徴的な不眠であり注意が必要です。

ところで、睡眠不足と不眠は別ものです。一般的に睡眠不足は若い人に多くみられ、不眠は高齢の方に多くみられます。睡眠不足とは眠らないことです。仕事で忙しかったり夜遊びをしていたりして寝床に入る時間がないために、日中眠くなります。
不眠とは眠れないことです。ただ不眠であっても、生活習慣や睡眠環境に問題がある場合には、不眠症とは言えません。眠れるはずの時間帯と適切な環境での不眠に加えて、日中の問題が存在して初めて不眠症と診断されます。

不眠症には大きく分けて4つのタイプがあります。人によっては2つ以上当てはまる場合もあります。

1 入眠障害:なかなか寝付けないこと
2 中途覚醒:夜中に何度も目が覚めること
3 早朝覚醒:朝早く目が覚めてその後眠れないこと
4 熟眠障害:ぐっすり寝た気がしないこと

早期発見のポイント

不眠症は慢性に経過します。眠れないという自覚があったら、まずは不眠の原因を見つけて取り除くことを、そして隠れているかもしれない不眠症以外の病気を見逃さないことを考えましょう。

不眠の原因

・好ましくない生活習慣:日中運動していないこと。アルコール、カフェイン、ニコチンの習慣的な摂取。

・好ましくない睡眠習慣:寝床で長時間過ごすこと。昼寝。就寝前の激しい活動。就寝後に考え込むこと。

・海外から帰国後の時差ぼけ。夜勤や交代制勤務による生活リズムの乱れ。

・騒音、光、不快な温度、振動、引っ越しや旅行など、睡眠環境の問題。

・職場や家庭の問題、死別や離別などストレス、心配事などによる緊張。

・不眠をもたらす薬(ステロイド、インターフェロンなど)の副作用。

・睡眠薬の急な中断によるリバウンド。

・かゆみ、いたみ、うずき、せき、頻尿、呼吸困難など、身体の病気に伴う症状。

隠れているかもしれない不眠症以外の病気

・睡眠時無呼吸症候群:睡眠中に大きないびきをかいて呼吸が停まることがあり、昼間に強い眠気を感じます。心臓や血管の病気になりやすくなります。

・むずむず脚症候群:夕方から夜にかけてに脚が痛がゆくなります。でも動かすとよくなります。特に妊娠中、鉄欠乏性貧血、透析の場合に多くみられます。

・こころの病気:不安障害、うつ病、双極性障害など


不眠症かなと思ったら

もし不眠が続いてつらくなり医師に相談する時には、2週間くらいにわたり睡眠日誌をつけて、布団に入る時間、寝付く時間、中途覚醒(回数・トイレ・再眠)、目が覚める時間、起床の時間、昼間の眠気、昼寝など状況を正しく伝えましょう。また、同居家族には、いびき、無呼吸、寝言、足のピクツキなどがないかを確認してもらいましょう。
眠れないからといって初めから睡眠薬に頼ろうとするのはよくありませんが、アルコールに頼ってしまうよりはましです。もし睡眠薬を処方してもらうならば、眠気が残らなくてふらつきが出ない、そして依存性のない新しいタイプの睡眠薬を処方してもらうようにしましょう。

予防の基礎知識

睡眠に関する正しい知識を身につけて、生活習慣と睡眠習慣を見直してみましょう。

睡眠と覚醒のリズムを整えましょう。朝きちんと起きて朝食をとり、昼間はしっかり活動する規則正しい生活を心がけましょう。特に運動習慣は中途覚醒の予防に役立ちます。朝、外に出て体操や散歩で明るい日光を浴びると体内時計がリセットされるのでお勧めです。逆に、夜は明るすぎない照明にしましょう。夕方以降に昼寝をすると、夜の睡眠に悪い影響を及ぼしてしまいます。昼寝は15時前の30分以内にとどめましょう。

また、眠るにも身体の準備が必要です。ぬるめのお湯で入浴、マッサージ、軽い読書や音楽など、自分なりのリラックス法を取り入れましょう。アルコールは睡眠の質を極めて悪くして不眠を助長します。寝る前にコーヒーや緑茶を飲むなど、カフェインを摂取することも禁物です。

睡眠時間は人それぞれで個人差や年齢差が大きいので、昼間に眠気を感じずに活動ができるなら、睡眠は十分取れていると言えます。ただ長く寝ればいいというものではありません。睡眠の長さにはこだわらないようにしましょう。何時間眠る必要があるといった思い込みはよくありません。寝床につく時刻にもこだわらないようにしましょう。眠たくなっていないのに寝床につくのはよくありません。寝付けなくて辛く感じるときは寝床・寝室から離れて本当に眠くなるのを待ちましょう。

年齢相応の適度な睡眠時間としては、20歳で7時間、45歳で6.4時間、65歳で6時間が一応の目安ですが、必要以上に長く床に就いていると、睡眠が浅くなり、途中で目が覚めてしまうようになってしまいます。高齢の方は特に、長く寝ようと欲張らないで、むしろ寝床の中で過ごす時間を短くした方がよいと言えます。眠れないということにとらわれないで、日中の過ごし方に目を向けることが大切なのです。

解説:山田 康弘
横浜市南部病院
精神科部長

関連情報

高血圧
症状別病気解説 高血圧
糖尿病
症状別病気解説 糖尿病
うつ病
症状別病気解説 うつ病

※当欄に執筆した医師の所属・役職は、異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

▲ページトップへ