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片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)

Hemifacial Spasm

解説:後藤 淳 (東京都済生会中央病院 神経内科医長)

片側顔面痙攣はこんな病気

片側顔面痙攣は、顔の片側の筋肉が、自分の意思とは関係なくピクピクと動く病気です。
最初は片目の周りの痙攣が起こることが多く、徐々に頬や口の周りなどに痙攣の範囲が広がります。痙攣の程度が強くなると、顔がつっぱってゆがんだ状態になったり、痙攣の側に筋肉の麻痺が生じたりします。また、痙攣の頻度は、最初は緊張したときなどにときどき起こるだけのことが多いのですが、次第に長くなり、日常的に起こるようになることもあります。通常は片側だけに見られますが、ごくまれに両側に生じることもあります。

原因は解明されていませんが、脳の深部で顔の筋肉を動かす神経(顔面神経)に血管が接触して、圧迫することも原因の一つではないかと言われています。この病気で困っている方は少なくなく、中高年の女性に多いともいわれています。

片側顔面痙攣の治療法

きちんと診断を受けた片側顔面痙攣のほとんどは、生命に関わる病気ではないので、患者さんが気にならないようなら、経過観察とすることもあります。その場合には、顔に冷気が当たらないようにすること、睡眠不足やストレスを避けること、禁煙や禁酒などが悪化の防止になります。

治療法は主に二つあります。比較的簡単に、症状を一時的に治めるボツリヌス毒素治療と、原因である顔面神経と血管の接触を、手術でとり除いて完治させる方法です。そのほかの薬物療法もありますが、必ず主治医とよく相談することが大切です。
ボツリヌス毒素での治療は、2000年に保険適応もされ、安全性と有効性が高い治療法です。1回注射をすると、2~3日後から効きはじめ、4カ月ほどは症状が楽になります。効果が切れてきたら、再注射を行うことになります。

職業などで完全な治癒を強く望まれていたり、発症から長い年月が経ち症状が強くなった患者さんには、手術療法が検討されることがあります。神経を圧迫している血管の位置などをMRIで検査したうえで、全身麻酔をかけて脳の深い部分の手術をすることになります。神経に接触する血管の圧迫を除く手術(ジャネッタ手術)ですが、脳の中枢部に近いため、高度な技術が必要になります。経験の多い脳外科の専門医に、慎重に適応を決めてもらい、患者さんがリスクを十分に理解したうえで初めて行う治療です。
高血圧や動脈硬化などの疾患がある場合は、併せて治療を進めます。

早期発見のポイント

・片方の目の周りの痙攣

特に、最初はまぶたや目の周囲に痙攣が起こることが多いようです。次第に頬や口の周り、あごなどの筋肉の痙攣が同時に起こるようになります。疲労や緊張によって痙攣が起こる頻度が増加することが多く、仰向けに寝たりアルコールを飲むと軽くなる傾向があります。

病気そのものは生命に関わるものではありませんが、自分の意思とは関わりなく顔面が動くため、対人関係に苦労したり、仕事などに差し障ることもあります。また、片目をつぶってしまうことから、機器の操作が不自由になったり、自動車の運転のしづらさから事故を起こしやすくなったりという危険も生じます。
健康な人でも、疲れたときなどにはまぶたがピクピクすることがありますが、片側顔面痙攣の多くは、自然に軽快せず、症状の程度や頻度も増えて行くことが多いようです。

片側顔面痙攣かなと思ったら

痙攣が気になるようなら、神経内科、脳神経外科などで診てもらいましょう。顔面痙攣の診断は、慣れた医師が診察すればすぐにわかります。
まれに、血管の奇形、動脈瘤、腫瘍などが原因となることもあるため、これらの重大な病気が潜んでいないかを必ずチェックを受けることが大切です。MRIは、顔面神経根周辺の状態を血管などの構造とともに詳しく観察することが可能であり極めて有用です。
なお、チック、疲れ目の痙攣(眼瞼ミオキミア)などによって痙攣が起こる場合もあります。

予防の基礎知識

片側顔面痙攣は、動脈硬化や精神的ストレス、疲労などと深い関係が想定されています。
動脈硬化の予防には、まず十分な血圧管理が大切です。糖尿病脂質異常症を避け、青魚や食物繊維を中心とした食事を心がけましょう。喫煙や飲酒は控えることも大切です。ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動も動脈硬化予防に効果的です。
また、リラックスできる時間をとるようにして、精神的ストレスを解消しましょう。音楽鑑賞や読書などの趣味を楽しんだり、軽いストレッチなどを行ったりするのもよいでしょう。

後藤 淳

解説:後藤 淳
東京都済生会中央病院
神経内科医長

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