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劇症型溶血性レンサ球菌(溶連菌)感染症

Fulminant Streptococcal Infection

解説:泉 学(宇都宮病院 総合内科主任診療科長) 、小村 賢祥(宇都宮病院 総合内科医長)
   岡部 太郎(宇都宮病院 総合内科) 、萩原 繁広(宇都宮病院 臨床検査技術科微生物検査技師)

劇症型溶血性レンサ球菌感染症はこんな病気

劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは「溶連菌」により引き起こされる感染症で、急激に症状が進行し重症化する特異な病気です。発症すると短時間の経過でショック、多臓器不全を呈することがあるため、30%という高い死亡率が報告されています。
1987年に米国で初めて症例が報告され、日本では1992年に千葉県で1例目が報告されました。その後も国内では毎年100~200人の患者が確認されていましたが、この病気の認知度が高まるに伴い正確に診断されるようになり、この1、2年で患者数は急増しています。

原因

劇症型溶血性レンサ球菌感染症の主な病原体は「A群溶血性レンサ球菌」で、小児がよくかかるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎などの原因菌と同じ細菌です。しかし、同じレンサ球菌がなぜ劇症型感染症を引き起こすのか、そのメカニズムなどについては不明です。近年、A群のほかにB群、C群、G群による劇症型溶血性レンサ球菌感染症の報告も増加傾向です。

診断

ショック症状、多臓器不全に加えて、通常は細菌が存在しない血液や脳脊髄液、関節液などからβ溶血を認めるレンサ球菌が検出されると、劇症型溶血性レンサ球菌感染症と診断されます。β溶血とは、細菌を血液寒天培地で培養したとき、細菌が出す毒素によって培地中の血液が溶かされる状態を指します。

治療法

治療は、まずペニシリン系の抗菌薬が使われます。多臓器不全を防ぐための全身管理も重要です。重症化して壊死に陥った軟部組織はできるだけ広範囲に切除する必要があります。

早期発見のポイント

「医学解説」でも述べたように、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の主な病原体は「A群溶血性レンサ球菌」で、小児がよくかかるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の原因菌と同じ細菌です。
なお、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、小児だけでなく免疫力が低下した成人、妊婦でも発症したりします。これに対して、劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、健康な方でも突然発病する例があります。初期症状としては、手足の強い痛みや腫れがよくみられます。また、発熱や筋肉痛などインフルエンザに似た症状がみられることもあります。この病気は、短時間のうちに病状が進行するため、上記のような症状が現れた場合は一刻も早く受診することが大切です。

予防の基礎知識

劇症型溶血性レンサ球菌感染症を引き起こす「溶血性レンサ球菌」の感染経路は、皮膚や軟部組織からの感染だと考えられますが、劇症化する原因などについて詳しいことは解明されていません。したがって、現状ではこの病気に対する特別な予防法もありません。うがいや手洗いなど、一般的な感染症予防に努め、けがをしたときなどは傷口を消毒し清潔にするよう心がけてください。がんや糖尿病などの持病がある方、透析をしている方、ステロイドなど免疫を低下させる薬剤を使用している方は、健康な方に比べて発症する危険性が高いとされているので特に注意が必要です。

せんせい

解説:宇都宮病院
総合内科 主任診療科長 泉 学(右2番目)
総合内科 医長 小村 賢祥(左2番目)
総合内科 岡部 太郎(右)
臨床検査技術科微生物検査技師 萩原 繁広(左)

※当欄に執筆した医師の所属・役職は、異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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