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食道炎・食道潰瘍

Esophagitis / Esophageal Ulcer

解説:羽生 泰樹 (大阪府済生会野江病院 消化器内科部長)

食道炎・食道潰瘍はこんな病気

食道炎はなんらかの要因により、食道に炎症性の変化(赤く腫れた、ただれた状態)が生じたもので、食道粘膜に深くはっきりとした傷がみられる場合を食道潰瘍と呼びます。

原因として最も頻度が高く、問題となることが多いのは、胃液の逆流によって起こる逆流性食道炎(胃食道逆流症)です。そのほか、内服した薬剤が食道内にとどまることで発症する薬剤性食道炎、強酸や強アルカリなど腐食性薬剤の誤飲による腐食性食道炎などがあります。

また感染症による食道炎としては、 真菌(かび)の一種であるカンジダの感染によるカンジダ性食道炎、ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルス感染によるウイルス性食道炎があり、特徴的な食道潰瘍が認められます。また、頸部や食道、胸腔内の悪性疾患(がん)に対する放射線治療の副作用によって起こる、放射線性食道炎などがあります。

胃食道逆流症は、胃酸を含んだ胃の内容物が食道内に過剰に逆流することで発症します。薬剤性食道炎は、薬の内服に際して十分な水分を摂らない場合や、内服直後の就寝などにより、薬剤が食道内に停滞することが原因とされます。腐食性食道炎は、洗剤や漂白剤などの腐食薬剤が原因で、小児では誤飲、成人では自殺目的によるものが大半を占めています。カンジダ性食道炎やウイルス性食道炎では、真菌や特殊なウイルス感染が原因となり、背景として免疫力の低下がみられることがあります。

早期発見のポイント

胃食道逆流症を代表する症状が、胸焼け(胃や胸の下あたりから上がってくる熱い感じ)と呑酸(どんさん:酸っぱい液体が口の中に戻ってくる感じ)で、これらは、胃食道逆流症の定型症状とも呼ばれます。さらに咽頭部(のど)の違和感、せきや喘息に似た呼吸器症状、胸痛がみられることもあります。

薬剤性食道炎では、通常、内服後12時間以内に局所の粘膜傷害による不快感や胸痛などが現れることが特徴です。腐食性食道炎の症状は、口内から胸部・腹部の激しい痛みや嘔吐、吐血など、劇的かつ重篤で、急性期には入院が必要となります。

診断には内視鏡検査(胃カメラ検査)が行われます。検査により、食道の腫れやただれた状態などの特徴的な所見から原因を推定することが可能であるだけでなく、出血や穿孔(せんこう:穴が開いていること)があるか、長期的に狭窄が生じる可能性が高いかなどの重症度を判断する上でも大事な情報を得ることが可能です。重症の場合、CT検査なども併用されることがあります。

予防の基礎知識

薬剤性食道炎の予防としては、薬を内服する際に十分な水分を摂ることや、内服直後に就寝しないことなどが挙げられますが、場合によっては原因薬剤の中止が必要になることもあります。真菌性やウイルス性食道炎は、免疫力の低下を背景に発症する場合もあり、免疫抑制薬の使用時や免疫力の低下している患者さんは、気をつけておいた方がよいでしょう。

胃食道逆流症の場合、胃酸の分泌を強力に抑えるはたらきを持つ「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」という薬により、速やかに症状が消え、食道の炎症が改善されることが分かっています。胃食道逆流症は慢性疾患のため、薬を中断することで症状や食道の炎症が再発してしまう場合には、服薬を続けることもあります。服薬の際は、飲む量や回数をしっかり守ることが大切です。自己判断で服薬を中止すると、悪化したり、再発する場合も多いので、医師とよく相談しましょう。再発を繰り返さないために、以下のようなことに注意してください。

  • ・暴飲暴食はやめ、腹八分目を心がける
  • ・脂肪の多い食事やアルコール、香辛料などは控えめにする
  • ・ベル卜、帯、ガードルなど、お腹を締めつける物の使用を避ける
  • ・前かがみの作業は逆流を起こしやすいので、できるだけ避ける
  • ・タバコはやめる

医師の指示通り服薬し、生活習慣をよくするように心がけましょう。

羽生 泰樹

解説:羽生 泰樹
大阪府済生会野江病院
消化器内科部長

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