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食道アカラシア

Esophageal Achalasia

解説:羽生 泰樹 (大阪府済生会野江病院 消化器内科部長)

食道アカラシアはこんな病気

胃と食道のつなぎ目に当たる部分は、開いたり閉じたりする弁の役割をしており、下部食道括約筋(Lower Esophageal Sphincter:略称はLES)と呼ばれます。LESが正常に機能することで、食物を飲み込むと食道から胃にものが自然に運ばれます。食道アカラシアでは、常にLESが収縮した(閉まった)状態にあり、物を飲み込んでもLESが緩まないため、食べた物がいつまでも食道に溜まってしまう疾患です。このため患者さんは物を飲み込みにくい、つかえた感じがする、吐いてしまうなどといった症状が現れます。

夜遅くに食事をしたあと就寝すると、口や鼻に食べた物や唾液が逆流し、枕もとが汚れてしまうといった症状がみられることもあります。また、知らないあいだに慢性的な食物や唾液の逆流をきたすことから、喘息のようなせきの症状がみられることもあります。食道の運動機能も障害されているため、食道が異常収縮を起こすことで強い胸の痛みを訴えることもあり、時には心筋梗塞と間違えるほど強い痛みを伴う場合もあります。

発生頻度は人口10万人あたりに1人程度とまれで、性差はなく、20~50代と比較的若年での発症が多いとされています。現時点では原因はよくわかっていませんが、食道やLESの神経細胞の変性・減少や、ウイルス感染などがその一因ではないかと考えられています。

早期発見のポイント

物を飲み込みにくい、つかえた感じがする、吐いてしまうなどといった症状が慢性的にみられる場合、特に20~50代と比較的若年でそのような症状が続く場合は、食道アカラシアを疑う必要があります。また、せきや胸痛などの症状を伴うこともあります。

この病気の可能性を念頭に置いて、内視鏡検査(胃カメラ検査)やバリウムを飲む食道X線造影検査などを行うことで、ほとんどの場合診断が可能です。内視鏡検査では、食道内腔の拡張や食物の貯留など、食道X線造影検査では、食道下部の鳥のくちばし状のなめらかな狭窄、食道の拡張・蛇行、造影剤の停滞などが特徴的な所見とされます。さらに、より詳しい検査として食道内圧測定(食道内の圧力を調べることによって食道の運動機能を検査)が行われることもあります。

予防の基礎知識

残念ながら現時点では原因は不明で、確かな予防法はありません。ただし有効な治療法は確立されており、新しい治療法も開発されてきていますので、適切な治療を受けることで、生活の質を保つことが可能となっています。

主な治療法

  • ①薬物治療(LESを弛緩させることを目的とした平滑筋弛緩作用のある薬の使用など)
  • ②内視鏡下バルーン拡張術(狭窄した部位を風船状のバルーンという処置具で膨らますことで拡張する方法)
  • ③外科手術(食道の筋肉の一部を切開する手術)
  • ④経口内視鏡的筋層切開術

④は近年、より身体に負担をかけない手術として導入され、施行例が増加しています。軽症の場合は①②を、重症例で③④が考慮されることになります。

羽生 泰樹

解説:羽生 泰樹
大阪府済生会野江病院
消化器内科部長

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