ホーム >  症状別病気解説 >  流行性耳下腺炎

流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)

Epidemic Parotiditis

解説:藤野 元子 (済生会中央病院 小児科医長)

流行性耳下腺炎はこんな病気

ムンプスウイルスによって主に唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺※図を参照)に炎症が生じます。耳下腺の場合は耳の前の頬が腫れ、触っただけで痛くなります。周囲のリンパ節も腫れるので、あごの輪郭がぼやけるような感じになってきます。耳下腺が腫れずに、あごの下の顎下腺や舌下腺だけ腫れる場合もあります。

炎症が生じる部位
炎症が生じる部位

明らかな症状を出さずに終わる場合(不顕性感染)から発熱を伴う場合、片側しか腫れない場合、両側が時間差で腫れる場合など、様々な形態をとります。唾液腺が腫れる期間も数日から1~2週と様々です。頭痛を伴うことも多く、ほとんどの人が合併症として無菌性髄膜炎を起こしていると考えられていますが、嘔吐が続くなどの症状が強く、入院治療が必要となるケースは数%に過ぎません。腺組織であるすい臓や精巣、卵巣、内耳などにも炎症が及ぶことがあり、内耳に炎症が及んだ場合、難聴になって回復が望めない場合もあります。成人男性では精巣が腫れあがり、減張切開(切り開いて圧を下げる手術)が必要になるケースもあります。

かつては一生に一度の疾患と考えられ、2回目以降は反復性耳下腺炎と診断されていましたが、実は一生に何度もかかり得る病気であることがわかっています。

早期発見のポイント

耳下腺周囲の腫れと痛みが伴えば、まず流行性耳下腺炎を疑います。他のウイルスが原因である場合や反復性耳下腺炎の場合もあり、最終的に検査を行って診断をすることも多いのが実情です。検査では、直接ウイルスを証明する方法(咽頭を綿棒で拭ったものでウイルスの遺伝子検査を行う)と血液検査(抗体価の上昇があるか)がありますが、その場でわかる迅速な検査は存在しません。

4年に一度大きな流行があることがわかっており、最近では2016年から流行期に入っています。

予防の基礎知識

予防にはワクチン接種しかなく、生後1歳からワクチン接種ができます。自然感染でも何度もかかり得る疾患なので、ワクチン接種をしていてもかかることはあり得ますが、軽症ですみます。耳鼻科の先生も「ムンプス難聴を防ぐためにもワクチン接種をしてほしい」と言っています。

麻疹ワクチン同様、最低2回のムンプスワクチン接種をお勧めしています。小児期では1回目は1歳代、2回目は幼稚園など集団生活が始まる前、もしくは周囲で流行性耳下腺炎の流行が認められる時、と子供の保護者の方にはお話ししています。小児期に最低2回ワクチン接種をしていない大人の方は、今からでもワクチン接種をお勧めします。

潜伏期は2~3週間で、症状が出現する数日前から他人にうつしていると考えられています。主に唾液による接触、飛沫感染です。隔離が必要な時期は、かつては"唾液腺の腫れが治まるまで"でしたが、今は"発病から5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで"と短縮されています。

藤野 元子

解説:藤野 元子
済生会中央病院
小児科医長

※当欄に執筆した医師の所属・役職は、異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

▲ページトップへ