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うつ病

Depression

解説:半田 貴士 (東京都済生会中央病院 精神科・心療科部長)

うつ病はこんな病気

うつ病は、精神疾患の一つで、気分障害という分類に含まれます。病気、失業、退職、別居、離婚、引っ越しなど、生活や環境の変化によって発症することが知られています。うつ病の人の脳内では、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の伝達がスムーズに行われず、さまざまな症状が現れます。まず、気分が落ち込み、意欲が低下し、日を追うごとにつらい気持ちが強くなっていき、仕事、家事、勉強など日常生活に障害が生じます。さらに、なにごとにも悲観的になり、自分の存在が周囲に迷惑をかけ、生きていても仕方がないと、自殺念慮を持つこともあります。少しでも早くうつであることを知って治療することが大切です。

うつ病の治療法

うつ病の治療は抗うつ薬による薬物療法が中心になっています。よく使われる薬剤は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などです。セロトニン、ノルアドレナリンに対してピンポイントで働きかけるため、従来の薬剤より副作用が少ないのが特徴です。抗うつ薬を飲む上で重要なことは、医師の指示にしたがって使用法と用量を守ることです。薬の効果が現れるまでには個人差があるため、自己判断で中止したり、減量したりしないことが大切です。

早期発見のポイント

1 気分が沈んで、いつまでも回復しない
2 わけもなく疲れる
3 これまで楽しんでやっていたことが楽しめない
4 自分に自信がなくなる
5 睡眠がとれない

うつ病は、さまざまな症状が現れても、本人も周囲もなかなか気づきにくい病気です。うつ病の症状が、頭痛や肩こり、胃痛など身体面に出ると、それに気をとられて精神面の症状に注意が向かないことがあります。気分が沈む、ふさぎ込む、興味がわかない、楽しめないといったうつ症状や不安感が続いて、その状況から抜け出せなくなります。意欲が失せてくると、周囲の物ごとに対する興味や関心が薄れ、集中力や決断力がなくなっていきます。

また、眠っても1~2時間で目が覚め、そのまま眠れなくなります。ですから、朝の気分がとても悪く、新聞を読む気にもなれません。しかし、夕方を過ぎるころになると、気分が楽になって、「明日こそは頑張れる」と思って寝ると、翌朝はまたつらくなっています。
会社に行くのが億劫になったり、学校を休みたくなったりすると、自分は怠け者とさえ思えてきます。そんな状態を見て、周囲が叱咤激励すると、疲労がどんどんたまって憔悴していきます。

うつ病かなと思ったら

周囲がうつ病の症状を見つけるためには、いつもとどこか違う、ということに気づくことが大事なポイントです。頭痛などの身体症状や睡眠状況、食欲のほか、口数が少なくなった、つき合いが悪くなった、遅刻や欠勤が増えた、仕事が遅くなったり、ミスが増えるようになったなど、日常の様子からうつ症状に気づくことができます。
うつ病になったら、頑張ろうとしないで、休養することが基本です。励ましの言葉は逆に負担になったりしますので禁物です。周囲は焦ることなく、ふだんと同じ態度で接することが大切です。

予防の基礎知識

うつ病を予防するためには、疲れやストレスをためすぎないようにすることが肝心です。うつ病という病気はよくなったり、悪くなったりを繰り返しながら徐々に回復に向かっていきます。すぐによくならなくても根気よく治療を続けることが大切です。
また、自殺の可能性が高い人には入院が必要になる場合もあります。周囲の人は、患者に対して生きていることが一番大切というゆとりと安心感を与え、適切な治療を受けられるように支えましょう。

半田 貴士

解説:半田 貴士
東京都済生会中央病院
精神科・心療科部長

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