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ボーエン病

Bowen Disease

解説:岡林 綾 (大阪府済生会富田林病院 皮膚科医長)

ボーエン病はこんな病気

皮膚がんの一種で、皮膚の有棘(ゆうきょく)細胞がん※1が表皮(皮膚の一番外側)だけに留まっている早期段階の状態のことです。病気の進行はゆっくりで、高齢の方によく発生します。手や顔に発生する場合は、紫外線が関与していると考えられています。多発する場合は、井戸水や農薬などに含まれたヒ素の摂取が原因として考えられます。

腫瘍の色は赤色や茶色で、やや盛り上がった「しみ」であることが多いです。皮膚と腫瘍の境界はわかりやすい場合が多く、痛みやかゆみはありません。全身のどこにでもでき、爪にできることもあります。大きさは1cm程度から10cm程度まで、さまざまです。

湿疹や尋常性乾癬、脂漏性角化症、基底細胞がんなどの皮膚病と似ている場合があり、診断が難しいときもあります。診断には、病変の一部を切り取って顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)が必要です。

治療は、腫瘍から5mm程度離して病変部を切り取る手術をします。がん細胞を残さず切り取ることで治癒します。ボーエン病の段階では遠隔転移※2することはありません。 しかし、ボーエン病を治療せずに放置すると、がんが進行し、皮膚の深い層(真皮層)まで侵食されて有棘細胞がんになってしまいます。そうなると、遠隔転移を起こして命を落とす可能性が出てきます。そのため、早期の段階で治療を受けることをお勧めします。

※1有棘細胞がん: 表皮の中間層を占める有棘層を構成する細胞から発生するがん

※2遠隔転移: 最初に発生した腫瘍から遠隔部の臓器、あるいは遠隔部のリンパ節に拡がったがんのこと

早期発見のポイント

赤色や茶色の「しみ」に気をつけましょう。痛みやかゆみがなく、「医学解説」で述べたような特徴をもつ色素斑はボーエン病の可能性があります。ボーエン病は皮膚科医が見ても、良性のいぼやしみである脂漏性角化症や老人性色素斑に似ていて、診断が難しい場合もあります。1年に1回は自分自身で、全身の皮膚をチェックすることをお勧めします。気になるしみが見つかったら、お近くの皮膚科を受診してください。

予防の基礎知識

手や顔、首など、よく日焼けをする部位にできるボーエン病は、紫外線が関与していると考えられています。日焼け止めや、つばの広い帽子などで日焼けしすぎないように気をつけると、発生を防げる可能性があります。

しかし、体幹や下肢など、ほとんど日焼けをしない部分にできることもよくあり、これらの部位に発生する要因はよくわかっておらず、現在いい予防法はありません。病気が進行する前に、早期発見に努めることが大事です。

ヒ素を過剰摂取すると、長い年月を経た後に、ボーエン病が多発することが知られています。井戸水がヒ素に汚染されていて、摂取してしまうケースが多いようです。井戸水をずっと使っている方は、定期的に水質検査をしてもらうなどの対策を心がけましょう。

せんせい

解説:岡林 綾
大阪府済生会富田林病院
皮膚科医長

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