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皮脂欠乏性湿疹

Asteatotic Eczema

解説:畑 康樹 (横浜市東部病院 皮膚科部長)

皮脂欠乏性湿疹はこんな病気

皮脂欠乏性湿疹とは、老化あるいはそのほかの要因によって皮脂の量が減り、皮膚のバリア機能が損なわれ、乾燥で角質がはがれてしまっている状態のことです。皮膚表面がガサガサになったり、白い粉をふいたようになったり、ひび割れができたりして痛みやかゆみが発生します。この病気は、段階的に進行するという特徴があり、いつの間にか重症化することが多いので、早めの対処・治療が大切です。

皮膚のバリア機能が低下すると、普段は角質層から奥へは浸透しない物質が角質層を通り抜けてしまいます。さらに、かゆみを感じる神経線維が表面近くまで伸びるため、髪や衣服が触れる程度の軽い刺激でかゆみを感じたり、使い慣れた化粧品の成分にかぶれて赤くなったりするなど、刺激に対して敏感になります。また、かゆみで皮膚を強く引っ掻くと、二次的に皮膚が赤くなったりブツブツができたり、さらには色素が沈着して黒ずんでしまうこともあるので注意しましょう。

健康な皮膚と皮脂欠乏性湿疹
健康な皮膚と皮脂欠乏性湿疹

皮脂欠乏性湿疹を発症しやすい人

基本的には、皮脂や角質層の細胞間物質などの分泌が低下した高齢者に多く発症します。しかし、最近は若い人や子どもでも増えており、アトピー性皮膚炎の素因を持つ人や、石けんやボディーシャンプーを多用する人などによくみられます。また、お湯や洗剤に触れることの多い主婦、美容師、看護師、紙類を多く扱う銀行員といった職種の人も、手に乾燥性の湿疹が出やすくなります。

早期発見のポイント

冬場、高齢者が腰や臀部(でんぶ)、下腿(かたい/ひざから足首までの部分)にかゆみを訴え、乾燥性の皮膚炎が認められる場合は、皮脂欠乏性湿疹を疑いましょう。

「医学解説」でも述べたように、この病気は、老化あるいはそのほかの要因によって、皮膚のバリア機能が低下し、皮膚の乾燥が生じることが原因で起こります。そのため、高齢者や乾燥肌の人は、空気が乾燥する冬期は特に保湿を心がけるようにしましょう。もし湿疹が重症化してしまった場合は、すぐに皮膚科を受診してください。炎症を抑えるステロイド外用薬や、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬の内服などで治療を行います。

予防の基礎知識

皮脂欠乏性湿疹の予防法は以下のとおりです。

・洗剤などを使うときは、綿の手袋をしてからゴム手袋を用いる
・熱い風呂やシャワー、長時間の入浴は避ける
・刺激の少ない石けんやボディーソープを、よく泡立てて泡で優しく洗う
・加湿器を使って室内の乾燥を防ぐ
・肌に刺激の少ない綿素材の下着や寝具を選ぶ

症状が軽い場合は、ちょっとした生活習慣の改善で皮膚のバリア機能を回復させ、症状を和らげることができます。ただし、自己流のケアで症状を悪化させることもあるため、気になる症状があれば、早めに皮膚科を受診するようにしましょう。

せんせい

解説:畑 康樹
横浜市東部病院
皮膚科部長

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