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甲本 雅裕 さん

甲本 雅裕 さん
1965年、岡山県生まれ。1989年、三谷幸喜主宰の劇団・東京サンシャインボーイズに入団し、『12人の優しい日本人』『ラヂオの時間』など全作品に出演。劇団解散後、テレビ、映画へと活動の場を広げ、『踊る大捜査線』シリーズ、『カーネーション』、『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』などに出演した。

一寸先は闇。でも、"二寸先"は、きっと明るい。

 島根県・隠岐諸島は相撲の原型である奉納相撲に人々が血を熱くする土地だ。その風土の中で、映画『渾身』は家族の在り方を問う。
 ロケで訪れた島では、しっかりと根付く古典相撲の文化に驚いた。
「あちこちに土俵があって仕事後に楽しんでいる。相撲は生活の一部なんです」
 独特の対戦ルールにも感心したという。
「勝負に勝つと、もう一度対戦して、次は負けて引き分けにする。お互い恨みを残さないための知恵なんですよ」
 心打たれたのは島の人々の温かさ。
「いまも心の故郷のように感じています」

 岡山のやんちゃな剣道少年だった。24歳でサラリーマンを辞めて上京した。「好きなものを見つけられないままの人生でいいのか」と自問自答し、舞台俳優の道へ。
 率直な話しぶりが、自身の持ち味にも通じる。善から悪まで幅広い役柄をこなすが、
「ドラマで憎まれ役を演じていると、早く次の話でいい人に変わりたいと思っちゃう。嫌われるのがイヤな性分なので(笑)」

 役者の醍醐味は「仕事と仕事の合間にある、浮遊感」と表現する。
「何もない不安定な状態がいい。次は何が来るかな?とドキドキできるから。僕の好きな言葉は"一寸先は闇"。だって二寸先は明るいかもしれないでしょ?」
一寸の闇もまた、愉(たの)しみの種なのだ

映画『渾身 KON-SHIN』

隠岐諸島に伝わる20年に1度の遷宮相撲を通して、豊かな自然のなかで生きる家族、日本の心を描いた感動作。若者に相撲指導をする漁師役で出演している。監督:錦織良成。
http://www.kon-shin.jp/

文:浜口恵美子 写真:吉川信之 (2013年1月号)

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