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伊藤 歩 さん

伊藤 歩 さん
1980年生まれ、東京都出身。93年、『水の旅人-侍 KIDS-』 (大林宣彦監督)で女優デビュー。『スワロウテイル』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞・新人賞など受賞。近年は映画『渾身』『横道世之介』、舞台『いやむしろわすれて草』、ドラマでは連続テレビ小説『おひさま』、『真夜中のパン屋さん』『昼顔』『その男、意識高い系。』『婚活刑事』など、話題作に出演。

マリンブルーの空間に抱かれて。もっと深く深く、もぐりたい。

知的で物静かなたたずまいと、屈託なく笑う姿が印象的な伊藤さん。
この春、近松門左衛門の代表作をベースとする新作舞台に挑みます。
深く役に入り込み没頭する彼女が大切にしている、
"とっておきの時間"とは。

 演じる役と作品の世界。一度入り込むと深くたっぷり、のめり込むタイプだ。
 子どもにまつわる深刻なテーマのドラマを撮影中のいまは、町で子どもを見かけるたびに「つらい内容を思い出して、その場で涙ぐんでしまうときもあります」。
 近松の傑作『心中天網島』が原作の舞台も、岩下志麻主演の同作映画を研究し、丹念に役作りをして臨んでいる。役柄は、遊女に入れ込む夫をしおらしく支える妻。もし、愛する夫が他の女に夢中になって、自分に見向きもしなくなったら?
「私ならがまんできずに、夫に『おかしいでしょう?』と問いつめます。でも彼女はそんな仕打ちをされても、自分のものを投げうってまで尽くす。そこに"強さ"と、夫への大きな愛を感じますね」と、役の境遇に思いを馳(は)せる。
 劇中、江戸時代に戻るシーンで中村七之助さんが遊女・小春を演じるが、その「女形」も楽しみのひとつ。
「歌舞伎の女形を同じ舞台上で見られるなんて、すごい! ミーハーかな(笑)」
 多忙ななか熱中するのは、始めたばかりのフリーダイビング。深く海の底へ底へと、酸素ボンベなしで素もぐりする。
「そこは無音の世界。水圧で体全体がきゅうっとくるまれていく。すごく気持ちいい。もっともっと、深くもぐりたい」
 現在の記録は水深12メートル。プールを無呼吸で泳ぐなど鍛錬も欠かさない。
「海は好きですね。穏やかでもあり、ダイナミックでもあり。場所によって表情が変わって、いつ見ても飽きない。私の性格に合っていると思うんです」
 夢は、海外でも活躍する女優。世界的演出家の手がける本作出演に、「夢がひとつかなった」と満面の笑顔を見せた。
 より深く、まだ見ぬ世界を求め、もぐり続ける日々は続いていく。

文:浜口恵美子 写真:安友康博 (2016年2月号)

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舞台『ETERNAL CHIKAMATSU
(エターナルチカマツ)』-近松門左衛門「心中天網島」-

舞台『ETERNAL CHIKAMATSU (エターナルチカマツ)』-近松門左衛門「心中天網島」-

妻子持ち・現在失業中ながら風俗店に通い詰めるダメ男・ジロウは、そこで働く売春婦・ハルにゾッコンほれ込み、命がけの恋に落ちるが......。遊女・小春、治兵衛、その妻・おさんの三角関係を描いた近松門左衛門の代表作『心中天網島』をベースに、"究極の愛"を描く。世界的演出家のデヴィッド・ルヴォーのオリジナルアイデアに基づいた新作戯曲。

原作:近松門左衛門
作:谷賢一
演出:デヴィッド・ルヴォー
出演:深津絵里、中村七之助、伊藤歩ほか

■大阪公演
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
2016/2/29(月)~2016/3/6(日) 
■東京公演
Bunkamura シアターコクーン
2016/3/10(木)~2016/3/27(日) 


伊藤 歩 さん

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